ゴールを決めて応援団のもとへ

 前線でボールを収めた小柳から、中央でパスを受けたのは、後半からシャドーの左に投入されていたMF秋山奏太(2年)だった。「いい形でボールが流れてきて、雨ということもあって『打てば何か起きるんじゃないか』と思い切り振りました。練習でも右足でちょっと流してから打つ形をやっていたので、左足で無理に振るより、得意な形に持っていこうと。上手くボールにミートできた感覚が凄くあって、打った瞬間“入ったな”と自分の中でもありました。今までで一番いいシュートが打てて本当に嬉しかったです」

 対峙したディフェンダーを剥がし、ペナルティーアーク手前から放たれた強烈な一撃は、ゴールネットに突き刺さる。プリンス勢を突き放す貴重な2点目の追加点。歓喜に沸くピッチで、秋山は「本当に嬉しくて、ホッとした」と胸をなでおろした。この値千金の一撃の背景には、2年生アタッカーが乗り越えてきた"過酷な8ヶ月間"があった。

 今年1月、新人戦の準決勝。秋山を襲ったのは、サッカー選手の引退理由にも挙げられる怪我「グローインペイン症候群(鼠径部痛症候群)」だった。腹筋をしても何をしても股関節に響き、何もできない日々。5月に一度復帰を試みるも、焦りが祟ってすぐに再発。そこからは「焦らずにやろう」と自分に言い聞せるしかなかった。

 「夏のインターハイもスタンドから見つめることしかできなかった。悔しさを押し殺し、ピッチに立てない秋山は「応援団長」を買って出た。「サッカーがやりたい気持ちがすごく強かったです。でも、出られないのは仕方ない。自分ができることは応援だったり、練習のサポートを人一倍やること。チームでゴミ拾いをする時間があるんですけど、誰よりも拾ってやろうと、サッカー以外のことをとにかく頑張ってきました」

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▽第105回全国高校サッカー選手権静岡予選
第105回全国高校サッカー選手権静岡予選