勝利をみんなで分かち合う近大附(写真=会田健司)

 2年連続で目の前まで迫り届かなかった全国。近大附が3度目の正直で令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選の中央トーナメント準決勝に挑む。

 準々決勝では興國と対戦。序盤からマンツーマン気味に前からハメに行くという大胆な選択をした近大附。「相手のフォーメーションを予想してマンマーク気味に当てはめた。しんどいですけど、ハードワークしてボールを奪ってショートカウンターで点を取ろう」と振り返ったのはキャプテンのMF7矢野皓誠(3年)だ。

 その思惑通りに相手にペースを握らせないサッカーを展開すると、15分にはFW上田泰地(3年)のクロスからMF6前田義春(3年)が先制点。そして後半から投入されたFW18梅地隆世(3年)が55分に貴重な追加点。最後まで失点も許さず、2-0で勝ち切った。

 興國と対戦するチームはボールを回されるのを前提にブロックを敷いて待ち構える事が多いが、この大一番で真っ向勝負を挑んだ近大附。さらにBチームでの出場が多かったFW22川西悠太(3年)をスタメンに抜擢した。これには梅地がコンディションを崩したことも関係していたが、この川西の献身的なプレーに梅地も燃えた。

近大附キャプテンのMF7矢野皓誠(写真=会田健司)

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 「当たり前なんですが、一緒にやってきた仲間なので純粋に自分の事を忘れて応援していました。2年の時は川西とずっとBチームで一緒にプレーしていて、二人のリレーで点を取れたことが嬉しい。去年は苦しいことが多かったんですが、ここで報われた」と川西からバトンを受け取った梅地が相手DF2枚を交わして見事なゴールを決めた。

 「体調を崩したときは”やってしまった”と思ったんですが、そこはすぐに切り替えてチームの事をまず第一に考えて、自分がどうプレーするか、プレー以外でどう行動すべきかを考えました」という梅地の言葉からも今のチームの一体感が伝わってくる。

 矢野も「Bチームでくすぶっていた選手なので、それでもしっかりこの舞台に立ったというのが他の選手のモチベーションにも繋がる」と川西がピッチに立ったことの意味の大きさを強調した。

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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選
令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選