昨年と一昨年の王者が相まみえた、2015年の決勝。試合終盤の最後の最後まで1点を争う戦いとなった。 

 ピッチコンディションがそこまでいい状態ではない中で、東福岡は個の力で局面を打開しに掛かった。MF三宅海斗が右サイドでボールを受けると、一気に加速しゴール前を伺う。しかし、堅守を誇る市立船橋DF陣を前に決定打を生み出すまでには至らず。この形で何度かチャンスを作ったが、決定機と呼べるモノはなかった。対する市立船橋は主将MF椎橋慧也を中心に、試合の主導権を奪いにかかる。準決勝で負傷した影響から、先発を外れたエースFW永藤歩に代わり起用をされたFW矢村健が体を張ってボールをキープ。ここに2列目や右SBのDF古屋誠志郎が絡み、厚みのある攻撃を展開するもシュートを打つ場面はごく僅か。両者ともに、決め手を欠く序盤の戦いとなった。

 そんな中で、先手を取ったのは東福岡だった。前半20分、孤軍奮闘のドリブル突破を序盤から見せていた、MF三宅海斗が右サイドからゴール前にカットイン。「ドリブルなどの個の力で打開をしようと思っていた。昨日は上手くいっていなかったので、今日は貢献したいと思っていた」と話す男が、ここから思い切り良く左足を振り抜く。ボールは綺麗な弧を描き、逆サイドネットへと突き刺さった。これで、勢いに乗った東福岡は終始試合を優勢に展開。後半に入っても、決定機を幾度となく迎えるなど追加点を狙いにいった。しかし、得点を奪えずにいると、ほとんど時間が残されていなかった中でMF工藤友暉にFKを決められ失点。土壇場で市立船橋に追い付かれてしまった。

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