高円宮杯U-18プレミアリーグWESTに於いて、既に一度戦っている東福岡履正社。第5節で対峙した際は2−0で東福岡が勝利を収めている。今回の対戦では、東福岡が積極的な試合運びを序盤に見せた。右サイドMFの橋本和征や左サイドMFの三宅海斗がサイドバックの裏を狙うと、相手守備網を突破しチャンスメイク。シュートを放つまでには至らなかったが、ゴールへの意識を感じさせた。 

 しかし、前半10分が経過すると一気にペースダウン。履正社が前に圧力を掛けて来たこともあり、守備に回る時間が多くなった。前半15分にはゴール前でMF牧野寛太にあわやというシーンを作られる。同26分にもFW林大地の左クロスから、再び牧野に右ポスト直撃の決定機。何とか凌ぐ東福岡だが、後半に入っても同様に自陣で守る苦しい展開が続く。同10分と同12分には、牧野がゴールを強襲。失点するのは時間の問題のように思えた。

  劣勢の流れを変えたい東福岡は、同12分にFW餅山大輝を投入。結果として、この選手交代が試合の流れを変えることになる。今大会に於いて、途中出場から2得点を上げている『赤い彗星』の切り札は勇猛果敢にプレー。攻撃の起点として、相手の背後を狙い続けた。すると、同24分に左サイドを抜け出した三宅がドリブルで履正社守備網を突破。ゴール前へとクロスを上げると、中央の毎熊が合わせ切れなかったが、餅山がファーサイドで反応。「ボールを流し込むつもりが、ボールを浮いたことでいい感じになった」という、背番号9の一撃が劣勢の東福岡に先制点をもたらした。 

 その後は履正社に猛攻を仕掛けられたが、守護神GK脇野敦至が「気持ちを見せろ」と味方を激しく鼓舞。「今日は最初から相手にやられていた。暑さもあったので、自分が(流れを)変えないとダメだなと思っていた」という守護神の叱咤激励に2年生中心の最終ラインも応え、最後まで集中力を維持。相手の勢いに押される劣勢から、『赤い彗星』が勝利をもぎとった。悲願の総体2連覇はあと2勝。粘り強さを武器に東福岡は準決勝を戦い抜く。

(取材・文・写真 松尾祐希)