狭山ヶ丘、前回4強の埼玉栄との接戦を制す

狭山ヶ丘イレブン(写真=河野正)

 第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選の決勝トーナメントは、10月21日に3回戦7試合が行われ、ベスト8が決まった。プレミアリーグEAST参戦中で2連覇を目指す昌平は、10月28日の準々決勝から登場し、細田学園と対戦することになった。

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 令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選ベスト8の狭山ヶ丘は、前回大会4強入りした埼玉栄との接戦を2-1で制し、10月29日の準々決勝(11時5分・浦和駒場スタジアム)で同予選準優勝の浦和南とぶつかる。

 狭山ヶ丘は苦しい台所事情で臨んだ。10月15日の2回戦後、12人がインフルエンザに罹患し先発を予定していた4人が離脱。川又洋介、増子雄太(ともに3年)の両長身CBを欠いたのは大きな痛手になると思われた。

 しかし前半5分という絶好の時間に先制できたことが、チームを勇気づけ勢いづけた。193センチの大型FW栗原拳飛が、主将のボランチ山本悠太(ともに3年)の蹴った左FKから豪快なヘディングシュートを決めた。

狭山ヶ丘 vs 埼玉栄(写真=河野正)

 埼玉栄は前半18分、MF伊藤潤(1年)がゴール正面から決定的なシュートを放ったが、相手GK峠大希(3年)のファインセーブに遭って同点機を逃した。

 前半は狭山ヶ丘がリードを奪ったものの、ほぼ互角の試合内容。両チームとも厳しい守備で応対し、最後の場面では自由にさせない好勝負を展開した。

 1、2回戦で計7得点してきた埼玉栄は後半7分、右サイドMF小谷野珠羽(2年)がペナルティーエリアの中で倒されてPKを獲得。これを主将のボランチ片波見大輝(3年)が、1回戦に続いて確実に沈めて同点にした。

 狭山ヶ丘には嫌な流れになったが、このままペースを引き渡すことはなかった。11分から投入された快足MF梅原翔和(3年)が、縦に進出して2本のシュート放つなどしてリズムをつくった。

 そうして17分、ゴール前で混戦となったボールを栗原が右足ボレーでたたき込んで決勝点を挙げ、2年連続のベスト8進出を果たす。

 狭山ヶ丘・西澤正仁監督の表情は緩みっ放しだ。「守備のところは互いの距離間をつくりながら、チャレンジアンドカバーを徹底した。厳しい状況の中、選手はよくやってくれました」とイレブンに感謝した。

狭山ヶ丘 ベンチ(写真=河野正)

 多数がインフルエンザで離脱したため、急きょOBを招集して紅白戦で調整した成果が出たようだ。

 調整といえば決戦前日、栗原は居残りでヘディングシュートの練習を繰り返したという。CBだった栗原をCFにコンバートした西澤監督は「最近自覚が生まれ、サッカーを真剣に考えるようになった」と成長ぶりに目を細めた。

 1試合2得点は、10月1日の県S2Aリーグの大宮南以来2度目。レギュラーになったばかりの栗原は、「センターバックをやっている時は面白くなかったけど、FWはゴールを決められるから楽しい」と笑った。母親のつくる唐揚げが大好物という長身CBは「次も自分の得点で浦和南を倒し、初のベスト4に入りたい」と終始ご機嫌だった。                          

(文・写真=河野正)

▽第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選