帝京第五に「デュエル」で勝り3得点。今治東、勇躍2年ぶり2度目の全国出場!

今治東MF14白川 虎太郎(3年)と帝京第五MF16梅澤 玄季(2年)

 新型コロナウイルス対策を施したうえで、準々決勝から2年ぶりに有観客で開催された第100回全国高校サッカー選手権愛媛予選。6月に四国大会を勝ち抜き今大会では2年ぶり2度目の頂点を見据える今治東中等教育学校(以下、今治東)と、2月に県新人大会を制し初の全国大会出場を狙う帝京第五との決勝戦は11月13日(土)に愛媛県松山市のニンジニアスタジアムで開催された。

 両校のスターティングイレブンは以下の通り。四国プリンス組のため準々決勝からの登場。準決勝では八幡浜工の堅守を終了7分前にこじ開けた今治東は「4-3-3」システム。GKはレフティーの1藤原陸(3年)。4バックは右から2矢野宏汰(3年)、5大森翔貴(3年)、キャプテンの4石山瑛(3年)、3竹内海人(2年)。中盤はアンカーの位置に6越智小次郎(2年)、その前の今治東では「フロントボランチ」と称する場所に14白川虎太郎(3年)と9髙橋周斗(2年)。3トップには右から11三好憂、7髙須賀陽斗、10十亀良幸の3年生トリオが並んだ。

注:中等教育学校表記は中学からの積算学年表記だが、便宜上高校の表記に合わせる。

 対して今大会は3回戦からの登場。準決勝では済美に5-1で快勝を収めた帝京第五は「4-4-2」システム。GKはこちらもレフティーの1小林竜海(3年)。4バックは右から22佐藤叶基(3年)、4津吹慶(2年)、5峯山隆介(2年)、3平繁一樹(3年)。中盤はダブルボランチが16梅澤玄季(2年)と6大宮真志斗(3年)。右にレフティーの8武田健汰(2年)、左はキャプテンの7長谷川大珠(3年)。2トップは10金坂圭隼(3年)と1年生の9松田侑弥が組んだ。

2年ぶり2度目の全国高校サッカー選手権大会出場を決め胴上げされる今治東・谷 謙吾監督

 

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 試合は前半序盤こそロングフィードの応酬になるも、10分を過ぎるとお互いが持ち味を出し合う展開となる。今治東が3トップのコンビネーションと「インターハイ後に大きく成長した」(谷謙吾監督)竹内らSB陣のオーパーラップ。対する帝京第五が2トップのポストプレーから武田のドリブル、長谷川のFKや金坂のロングスローも含めた両サイドからのクロスを織り交ぜてゴールを狙いに行った。

 が、30分を過ぎると今治東は随所に優位性を保ち始める。「今日は勝負にこだわろう」と谷監督からもらった檄に反応し、「相手の正面に立つことを意識した」アンカー・落ちを中心に本来、帝京第五が強みとするデュエルでの勝率で勝ると、サイドチェンジを使い帝京第五DFを揺さぶりにかかることに。そして迎えた38分に生まれた先制点も正にその形だった。

 中央右寄りで相手に競り勝った髙須賀からパスを受けた三好がPA右までドリブルで仕掛け、切り返しを入れてからマイナスに中央へパスを送ると、そこに走りこんでいたのは「次戦のスカウティングでバイタルが空くのは解っていたので、そこは狙っていた」十亀。完璧なトラップからハーフボレー気味に右足で蹴り込んだシュートはゴール左隅へと突き刺さった。

 後半。「じわじわと今治東に押し込まれてしまった」帝京第五・植田洋平監督が振り返ったようにピンクのユニフォームの勢いはさらに増していく。48分には帝京第五・左SB平繁に際どいシュートを打たれる場面もあったが、53分、今度は右サイドでのスローインを髙須賀が頭でつなぎ、三好から中央の十亀、PA左に進出した髙橋とパスをつなぐと「右に持ち替えてタイミングをずらし、相手DFの股下を狙って撃った」髙橋のシュートが決まり2-0。

 さらに80分には途中出場・井門熙耀(1年)がドリブルで右サイドをぶち抜きクロスを上げると、PA中央でフリーになっていた髙須賀がボレーで決めて3-0。守備陣も交代枠をすべて使って圧力を強めた帝京第五に対し「1対1にこだわって練習からやってきた」キャプテン・石山を中心とする守備陣がゴールを割らせず、今治東が2年ぶり2度目の全国大会出場を快勝で決めた。

 全国での目標は2年生ストライカー・髙瀬太誠(現:J3FC今治)の活躍もあり、初出場で1勝をあげ、静岡学園にも互角に渡り合った2年前を超えるベスト8以上。「今でも試合ごとに連絡をくれる」(十亀)FC今治の次世代ストライカーの期待に応え、今治の街に確固たるサッカー文化を創生するためにも。彼らは「ボールを回しながらスキを付いていく」(キャプテン・石山)スタイルを貫きつつ、新たな歴史を刻む闘いに挑む。

(文・写真=寺下友徳)

▽第100回全国高校サッカー選手権愛媛予選
第100回全国高校サッカー選手権愛媛予選