西武台が2-1で武蔵越生を破り昨年の雪辱を果たす

西武台イレブン

 第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選の決勝トーナメントは31日、浦和駒場スタジアムで準々決勝の残り2試合が行われ、前回大会の準決勝と同じ顔合わせとなった第2試合は、西武台が2-1で武蔵越生を破って昨年の雪辱を果たし、3年連続17度目のベスト4に駆け上がった。11月7日の準決勝で武南と対戦する。

 故障者とけが明けで万全のコンディションでない主力を多数抱え、選手のやり繰りに頭を痛めながらも、出番が回ってきた面々が期待通りのプレーを披露。西武台が選手層の厚さを見せつけている。

 長いボールとサイドアタックを主体にした西武台は、エースの市川遥人と細田優陽の3年生2トップを起点に攻勢に出た。前半10分、MF和田力也(2年)の右ロングスローから細田がヘッドでゴールを狙うなど、多彩な攻めを繰り出した。押し込む回数が増えていた前半26分、市川の縦パスを受けた細田が右から運び、フェイクを入れてマーカーをかわし、左足で先制点を蹴り込んだ。

武蔵越生は前回大会も経験しているGK関根拓郎(2年)が好セーブを連発。攻め込まれても水際で抑え込み、4試合目で初失点したものの、主将のCB波田優斗(3年)を中心とした守備ラインは安定していた。

 そんな堅陣の頑張りに応えたのが、3回戦で優勝候補筆頭格だった昌平を倒す決勝点をマークしたFW伊藤稜賀(3年)だ。2分あったアディショナルタイムも半分が経過した。ハーフウエーライン付近でこぼれ球を拾った伊藤が、2トップを形成する石本浩大(3年)に預けて前方に進出。石本のパスを受けて右からペナルティーエリアに入った瞬間、GK淺沼李空(3年)のニアサイドを破って同点ゴールを決めた。

 武蔵越生の前半のシュートはこの1本ながら、守備陣の奮闘もあって前半を1-1で折り返した。

 西武台は後半13分から、故障明けのボランチ吉野光(3年)を送り込み、中盤の守備を安定させた上、展開力にも厚みを持たせた。21分に右CKを獲得。MF岡田瑞生(3年)の蹴った低い弾道を市原が頭でそらし、そのボールをDF原田蓮斗(3年)がダイレクトで後ろに流すと、詰めていたDF河合隆玖(2年)が右足で押し込み、決勝点とした。

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武蔵越生 vs 西武台

 武蔵越生は後半、MF安西歩夢(2年)やFW廣重温人(3年)らを次々と投入。計5人を入れ替えて反攻に転じようとしたが、西武台の厳しい守備に遭って後半のシュートは、廣重が放った1本に終わり、2年連続の準決勝進出はならなかった。

 昨年の準決勝は土壇場で追い付いてPK戦に持ち込んだものの、2人が失敗して武蔵越生に敗れた。しかし今大会は、勝ち越しゴールを奪ってリベンジを果たした。

 守屋保監督は「ミラーゲームになることを予想し、トリプルボランチで迎え撃たないと駄目だと思った。厳しい試合になったが、代役をこなしてくれた選手も含め、よく戦ってくれた。武南との準決勝は、しっかり対応できればチャンスはあると思う」と2大会ぶりの決勝に向けて意気込みを示した。

 昨年から守備ラインをまとめる武笠隼季(3年)は、「相手のカウンター攻撃は脅威なので、十分に警戒した。球際と気持ち、ヘディングでは負けないように戦っています」とベスト4入りを喜んだ。

 前回準優勝の武蔵越生は今季も好チームを編成し、昌平を倒すなどして準々決勝まで進んだが、わずかな差で敗退した。今春就任した井上精二監督は「奪ったボールをもう少しつなげれば状況は変わったかもしれない。でも1回戦から厳しい相手と戦い、選手が自信をつけたのは収穫です」とイレブンの労をねぎらった。     

(文=河野正)

▽第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選