希望が丘、MF山田颯太の決勝ゴールを守り切り飯塚に勝利

決勝ゴールを決めた希望が丘MF山田颯太(写真=森田将義)

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2021福岡は、11日に第10節を実施。希望が丘飯塚の一戦は、MF山田颯太(3年)のゴールを守り切った希望が丘が1-0で勝利した。

 開幕戦での対戦時は、2-1で希望が丘が勝利しているが、1月の新人戦と6月のインターハイ予選は共に飯塚が勝利。「1勝2敗だったので、勝ってイーブンにしようとみんな気合が入っていた」と主将のMF山田颯太(3年)は振り返るが、チーム状態は決して良好とは言えなかった。

 1週間前に行った第9節の福岡U-18B戦は見せ場なく、1-4で敗戦。「ここ数試合はメンタル的に良くなかった。人任せにすることが多くて、簡単に抜かれて“お前が行けよ”という選手が多かった」と振り返る西川慎也監督は、選手の自主性を育むため、直後の練習では指導をせず、選手に練習を託した。荒療治ともいえる策だったが、「西川さんに恩返しがしたいという気持ちが強くなった」と話す山田らの意識を変えるには、効果は十分。山田は「練習から雰囲気が良くなかったけど、全員で声を出して雰囲気を変え、ベクトルを合わせて戦おうとなった」と続ける。

 選手の意識変化は、試合開始早々に形となって表れた。立ち上がりから、飯塚にボールを持たれる展開を強いられたが、我慢強い守備からカウンターを狙うと前半11分には、MF倉橋祐羽(3年)が、右サイドを抜けだし、ゴール前にクロス。山田のヘッドをミートしきれなかったが、自らの下にこぼれ、ボレーで叩き込んだ。

 「守って守って、少ないチャンスを物にするのを目標にしていた」(山田)形で生まれたゴール。ここからも2点目を奪いに行くのではなく、我慢強い守備を継続しながら、ボールを奪ったらシンプルに194cmのFWジョップ・セリンサリウ(3年)へのロングボールを展開。前半終了間際には、左ロングスローのこぼれをDF柳田優斗(3年)が合わせるなど、一発を狙う形を継続した。戦いの狙いについて、西川監督はこう明かす。「本来はボールを持ったサッカーをするけど、相手が飯塚さんだったのでリスクを無くして戦った。全国に行くチームなので、勝負に拘ろうとブロックを敷いた」。

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飯塚 vs 希望が丘(写真=森田将義)

 対する飯塚は、怪我で主力の半数近くがいない影響もあり、ゲームを支配しながらも相手エリアでのミスが目立ち、決定機まで持ち込めない。前半の惜しい場面は、MF森園楓月(3年)が放ったミドルシュートくらい。主将のDF中川知哉(3年)は、「自分たちが思うように繋げなかったし、決めきれなかった」と振り返る。

 後半に入ってからは、J注目のFW高尾流星(3年)とMF村井天(2年)を投入。二人の個の力で攻撃のリズムが生まれたが、希望が丘は「DFラインに2人しか3年生がいない。気持ち的に緩い部分もあるけど、1点を獲った時点で『絶対に無失点で終えるぞ』と声を掛け続けた」DF坂本琉雅(3年)を中心にゴール前で身体を張った守備を継続した。後半11分にはFW村越琉威(3年)が倒され、飯塚がFKを獲得。MF築田匡(3年)が直接狙ったキックは、バーをかすめて枠の外へ。13分には築田の右クロスをGK依光勇正(2年)が弾き、こぼれ球を狙われたが、高尾のシュートは飯塚の選手に当たって、外に逸れた。試合はそのまま1-0でタイムアップを迎えた。

 無失点の立役者となった坂本が「リーグの残り試合も獲る所でしっかり獲って、守るところは全員で守りたい」と話した通り、この日の勝利は今後のロールモデルとなり得る形。残り試合もチーム一丸となって粘り強く勝点を積み上げていく。

(文・写真=森田将義)