延長戦を制した秀岳館が、熊本学園大付属を下して決勝へ

秀岳館が勝利 (写真=井芹貴志)

 「令和3年度県熊本県高等学校総合体育大会」の準決勝、第2試合は、新人戦ベスト4の秀岳館と、同ベスト8の熊本学園大付が対戦。22本のシュートを記録した秀岳館が終始、優位に進めながら、なかなか得点が生まれずPK戦までもつれるかと思われたが、延長後半終了間際にセットプレーから決勝点を挙げ、粘る熊本学園大付を下した。秀岳館は1アンカーの[4−3−3]、熊本学園大付は[4−4−2]の布陣でスタート。熊本学園大付の厚晴仁監督が「県のリーグ戦でも対戦して技術が高いことは分かっているし、前からボールを取りに行っても簡単には奪えない。ブロックの外で持たせるのは良しとして、“握らせている”という展開に持ち込めれば」とのゲームプランを抱いていたことを明かしたように、序盤からボールを保持して相手陣内に攻め込む秀岳館に対し、熊本学園大付はブロックを作って対応。安易に飛び込んでかわされ、中へ侵入させるような場面もほとんどなく、スライドしながら3ラインの陣形を保ち、左右からのクロスに対しても中央、ファーサイドできっちり人にマークをつけて跳ね返し続ける。
 こうした固い守備に対し、秀岳館の段原一詞監督は、「中を固められている状態で、くさびを打ち込んで前向きを作ったり、サイドから中に入って引き出さないといけない」と攻撃の工夫を求めるが崩しきるには至らず。熊本学園大付属も背後のスペースを突くカウンターからチャンスを迎える場面もあったが、お互いに得点には結べないまま前半を折り返した。

【フォトギャラリー】 熊本学園大付 vs 秀岳館

熊本学園大付 vs 秀岳館 (写真=井芹貴志)

 後半に入っても秀岳館が押し込む展開で時間が進み、サイドからのクロスや、それによって得たコーナーキックでフィニッシュに持ち込む。しかし熊本学園大付はGK田代健の好反応に加え、最後の局面で体を寄せることで得点を許さず、延長へ。お互いに得点を奪えないまま迎えた延長後半の立ち上がり、「相手の高いラインを、工夫してブレイクする」(厚監督)ことを狙っていた熊本学園大付がリスタートから抜け出す決定機を迎えたが、オフサイドで先制ならず。一方の秀岳館はさらに圧を強め、終了間際に大きな展開で得た右コーナーキックから、延長に入って交代出場していた石川遼が押し込んで、最後の最後に均衡を破った。
 「初めから70分で決めるのではなく、(延長戦も含めた)90分で勝つことを考えていた」と秀岳館の段原監督。決勝点の石川については、「準々決勝のルーテル学院との試合でも先制点を取って、2点目もアシストした。体は小さいが、相手の間に潜るのがうまく気持ちも強いので、今日はジョーカーとして取っておいた」と話し、采配がハマった格好となった。
 決勝進出を逃し3位となった熊本学園大付属は例年、大学受験を控えた3年生の一部がこの大会を最後に引退するが、厚監督は「リーグ戦や練習試合ができないコロナ禍の制約の中でも、チームとしてやれることの引き出しが増えた」と述べ、粘り強く戦った選手たちを評価。ベスト4の自信は新チームにも引き継がれ、選手権に向かうことになる。
 秀岳館にとって、大津と戦う明日の決勝は、準決勝で敗れた1月の新人戦のリベンジマッチ。また、同会場で男子決勝に先立って決勝戦が行われる女子サッカー部とのアベック優勝もかけた一戦となる。

(文・写真=井芹貴志)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選