新田、「狙い通り」2ゴールで2大会連続8回目のインターハイへ!

新田vs今治東中等教育学校(写真=寺下友徳)

 コロナウイルス感染拡大防止のため、関係者・チームエントリー外の3年生部員などを除き無観客で開催された「令和3年度愛媛県高校体育大会サッカー競技」。6月6日・済美が優勝した女子部門に続き、6月12日には男子部門が愛媛県総合運動公園陸上競技場で決勝戦を開催。カードは昨年の選手権代表・今年の新人戦準優勝の新田と、新人戦優勝の帝京第五を破った勢いをキープする一昨年の選手権代表・今治東中等教育学校(以下、今治東)という2年前と同じ因縁の一戦となった。

 両校のスターティングシステムは新田が近年不動の「4-4-2」。守護神はキャプテンの田中 藍人(3年)、DFは右から2宮領 渉真(2年)、5森 誠也(2年)、3白石 慶次郎(3年)、19小野 功大郎(3年)。中盤は22篠﨑 亮輔(2年)・10青野 宇矩(3年)のダブルボランチに、サイドアタッカーは右に6東尾 翔太(2年)、左に9福井 優斗。2トップはここまで県大会準決勝までの3試合で全て得点を重ねているエースの11日浦 和守(3年)と、「日浦をフィニッシュに専念できる」と清水 和貴監督ら首脳陣に攻守の献身性を高く評価され新人戦後にサイドプレーヤーから転向した8永野 流星(3年)である。

 一方の今治東は「4-1-4-1」システム。GKは1レフティーの藤原 陸(3年)、4バックは右から2矢野 滉汰(3年)、5大森 翔貴(3年)、キャプテンの4石山 瑛(3年)に15竹内 海人(2年)。中盤はアンカーに6越智 小次郎(2年)を置き、その前に右から11三好 憂(3年) 、14白川 虎太郎(3年) 10十亀良幸(3年)、9髙橋 周斗(2年)。ワントップは7髙須賀 陽斗(3年)という布陣で挑んだ。

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新田が無失点V(写真=寺下友徳)

 試合は2年前をリプレイするようなシーンで動き始める。「事前に動画を見て相手のボールの動かし方を確認していた」(GK田中)新田は、11人が連動しながら今治東のビルドアップを前向きで回収しショートカウンターにつなげると、6分・東尾の右CKに永野がニアサイドで反応。身長168㎝ながら「自信を持っている」彼のジャンプ力は相手DFより頭2つ抜きん出たヘディングシュートとなり、逆サイドに突き刺さる。

 先制後も攻撃の手を緩めない新田は続く9分にも右サイド敵陣深くでスローインを獲得。福井のロングスローに東尾が頭で反応すると弾道は敵味方を縫うように再び今治東のネットを揺らすことに。かくして彼らは「相手のボール回しにぶつけてセットプレーを取る理想的な形」(清水 祐貴監督)で試合の主導権を早々に握った。

 これに対し、十亀のドリブルテクニックとスピードを利して時折サイド深くまでボールを前進させるものの、前半35分間はなかなかゴール前に迫れなかった今治東。谷謙吾監督はこの閉塞感を打開すべく、後半開始から白川をトップに上げて十亀を左サイドにポジション変更。さらにインサイドに薦田大翔(2年)を入れるなど2選手を交代させ、両サイドが攻撃時タッチライン際まで幅を取りつつ、相手の立ち位置の間を取りながら得点を狙う戦術を敷いてきた。

 ただ、新田にとってこれらの立ち位置の変化は想定の範囲内。立ち上がりこそ左右に守備網が振られるシーンがあったものの、後半15分以降は「十亀さんを小野さんが抑えてくれたのでカバーリングを意識した」DF森ら、全員がタイミングを合わせて対応。結果「十亀の周りの動き出しがうまくいかなかった」(谷監督)状況を作り出して無失点勝利した黄色い軍団は、昨年度の大会中止を乗り越え、選手権や新人戦で課題として出た判断力のミッションもクリアしつつ、大会4試合で7得点無失点という内容的にも抜きん出たものを見せて、2大会連続8回目のインターハイ出場を決めた。

 「全国でも積極的なスタイルを貫いていきたい」永野の意気込みはみんなの想い。新田は「選手権出場を目指す過程の中ではいいゲームをできた」(谷監督)今治東ら敗れた者たちの想いも背負って、真夏の福井県で過去最高成績のベスト16以上を目指す。

(文・写真=寺下友徳)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)愛媛予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)愛媛予選