前半から勢いに乗った米子北が接戦の末に星稜を下す!“絶対王者”相手に諦めず戦い初V狙う!

決勝進出を決めた米子北の選手たち

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)は8月21日に準決勝を行った。三国運動公園陸上競技場で行われた星稜(石川)と米子北((鳥取)の対戦は、FW片山颯人(3年)の先制点を皮切りに3点を奪った米子北が3-2で勝利した。

 準決勝の神村学園(鹿児島)戦は、苦しみながら勝ち上がってきた3回戦までとは違い、完勝と言える試合内容を披露し、3-1で勝利。勢いに乗った米子北は準決勝でも立ち上がりから主導権を握って試合を進めていく。鍵となったのは、前線からのアグレッシブなプレッシングだ。前半6分にFW片山颯人(3年)が、相手DFのバックパスを奪い取ってゴールを狙った場面のように高い位置でのボール奪取で星稜を押し込んだ。加えて、奪ってから放つ相手DF裏への配給も効果的で、セカンドボールを拾って二次攻撃に繋げた。

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 「最初の10分は勢いで持っていけた感じがあった」。中村真吾監督の言葉通り、勢いで星稜を押し込み、8分には左のMF木村愛斗(3年)、中央の片山と繋いでボールを右サイドのMF渡部颯斗(3年)が決めて先制に成功。続く10分には、GK山田陽介(3年)のフィードを木村がヘッドでDF裏に落とし、走り込んだ片山が決めた。2点差となってからも米子北の勢いは衰えない。15分にはDF鈴木慎之介(3年)が入れた右クロスのこぼれをMF佐野航大(3年)が狙うなどしたが、3点目は奪えず前半を終えた。

 満点に近い試合内容を見せた米子北だが、「前半から勢いに乗れたけど、後半は時間が経つにつれて集中力を欠いたり、走力がなくなっていった」(佐野)。対する星稜は、後半から「自分がどういうプレーすればチームを勝たせられるか常に考えてプレーしていた」と話すMF前出悠杜(3年)と福井出身のMF戸川期雄(3年)を同時投入。同点に追いつきPK戦での勝利をおさめた2回戦・札幌大谷(北海道2)の再現を狙った。

インターハイ準決勝 星稜 vs 米子北

 25分には、左から上がったFW山崎陸成(3年)のクロスからファーのMF戸川。相手を引き付け、最後はMF岡田伯斗(3年)がゴール。試合終盤はDF中村実月(3年)をFWに入れたパワープレーで米子北を押し込むと、35+3分には岡田の折り返しを前出が決めて、振り出しに戻した。勢いは完全に星稜へと傾いたが、米子北は諦めていない。直後の35+5分には、右から放ったロングスローのこぼれを反対サイドのMF牧野零央(3年)が決めて、米子北が再び勝ち越しに成功。最後は上手く時間を使って逃げ切った。

 決勝で対戦するのは、今大会大勝での勝ち上がりを続ける青森山田(青森)。決戦を前に中村監督は「決勝を経験することって、勝っても負けてもめっちゃ成長すると思う。それは期待しています。決勝の舞台で1回戦から成長してきた姿を彼らが出して欲しい。どう戦うかよりも今持っている力を全部ぶつけて、また成長に繋げて欲しい」とコメント。主将の鈴木は「自分たちがやるべきことをやって最後まで諦めずに戦えば勝てる可能性はある」と意気込んだ。

 負けた星稜にとっても、ベスト4まで進めたことは大きな価値を持つ。中村が「全国での立ち位置が分かったので、その基準を追い越すためにもっと練習しないといけないことが分かったのが収穫」と口にした通り、敗戦を冬の躍進に繋げてくれるはずだ。

(文・写真=森田将義)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)