玄のスーパーミドルボレーが飛び出した静岡学園が2-0で勝利し8強進出!大阪桐蔭は善戦するもベスト16で大会を去る

スーパーミドルボレーを決めたMF玄理吾

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)は8月18日に3回戦が行われ、テクノポート福井総合公園スタジアムで行われた静岡学園(静岡)と大阪桐蔭(大阪)の一戦は前半立ち上がりと前半終了間際に得点を重ねた静岡学園が大阪桐蔭を2-0で下し準々決勝に進出した。勝利した静岡学園は8月19日にプレミアリーグWEST所属の強豪大津(熊本)とテクノポート福井総合公園芝生広場で対戦する。

 試合後、「内容は良くなかった」と川口修監督が振り返った通りチーム全体でハードワークする大阪桐蔭に試合を通して苦戦した静岡学園。しかし「決めるところを決めていれば」と永野悦次郎監督が言うように「決め切る力」が勝敗の分かれ目になった。大阪桐蔭キャプテンの4番DF小林柾輝も「自分たちの全員サッカーをしっかりやっていけば、それ程差が生まれることはなかった」と前提した上で「やっぱり最後の部分で決め切るところが相手との差が生まれてしまった」とその差を実感した。

 3分、大阪桐蔭の勢いに押されていた静岡学園がファーストチャンスをいきなり決め切る。右CKに相手GKが触れなかったところをこぼれを拾った6番DF小泉龍之介が見逃さなかった。「GKが出てきたのがわかっていた」とDF小泉が冷静にループシュートを放つと、カバーに入ったDF陣も届かずゴールに吸い込まれた。

 先制を許した大阪桐蔭も反撃に出る。しかし16分の8番MF室勇志のヘディングシュートはGKにセーブされ、34分の左サイド5番DF朝山大輝のクロスにフリーで合わせた15番MF柳秀聖のヘディングシュートも叩くことが出来ずバーの上を通過した。

 するとピンチを凌いだ静岡学園は35+2分、右サイドのクロスがこぼれたところをダイレクトで8番MF玄理吾が左足で合わせる。利き足ではない左足で「落ちてくるボールに力まずにミートだけ意識した」というMF玄のシュートは「自分はそんなにゴールを決めるタイプではないので今までで一番いいゴール」と自画自賛するスーパーミドルボレーとなり「蹴った瞬間入った」とわかる、GKを越えて落ちる軌道でゴールネットに突き刺さった。

勝利した静岡学園イレブン

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 静岡学園の2点リードで後半に入ると38分、約25mの距離で得たFKをDF小林が直接狙うと「蹴ったことがない」というのが不思議なほど鋭いボールがゴールマウスを襲う。しかしこれを静岡学園キャプテンの1番GK生嶋健太郎がスーパーセーブ。GK生嶋が間一髪触ったボールはバーに当たり弾かれた。

 ゴールにはならなかったが大阪桐蔭がその後も勢いに乗ってチャンスを作る。すると流れの悪い静岡学園がここでベンチスタートとなっていた10番MF古川陽介と11番FW川谷凪を同時投入。ボール保持率の上がった静岡学園はMF古川とMF玄を中心にチャンスを作り流れを引き戻す。結局スコアはこのまま動かず2-0で静岡学園が勝利した。

 互角以上の内容で静岡学園を苦しめたが残念ながら3回戦で敗退となってしまった大阪桐蔭の永野悦次郎監督は試合後「最初の3分と、残りの2~3分でやられるところと、決めるところで決め切れないところがやっぱり弱いところですね。しっかりチームでボールを奪う戦術と、奪ってからちゃんとボールを操るところを意識させて挑ませた結果、イージーミスが多かったしまだまだ予測が足りなくて、集中力と注意力がやっぱり課題かなと思います」と試合を振り返った。

 静岡学園との対戦については「彼らのストロングを出させないように対応しないといけない。それに対しての個人の能力、チームでのプレーっていうのを凄く意識させました。勝ち負けで行くと負けてしまいましたけど、チームとしては凄く戦ってくれたなと思います。最後まで諦めないでやってくれた」と手応えを口にし強豪相手に善戦した選手を労った。

 選手権に向けては「大阪は激戦区ですから、すぐに『じゃあ全国で』とは言えず、大阪に戻ってちゃんとまた全国の舞台に勝ち上がれるように一つ一つ追求しながらトレーニングして行って、実際にまた全国の舞台に立った時にはまたこういった素晴らしいチームと対戦して、今度は負けないでしっかり勝って上位に食い込んでいけるように頑張りたいと思います」と意気込みを語った。

(文・写真=会田健司)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)