2大会前に記録したベスト8越えを目指す徳島市立が立正大淞南に逆転勝ち

逆転勝ちをおさめた徳島市立イレブン(写真=森田将義)

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)は16日に2回戦を行った。テクノポート福井総合公園芝生広場で行われた立正大淞南(島根)と徳島市立(徳島)の一戦は、FW藤島涼介 (3年)の2ゴールで徳島市立が逆転勝ちをおさめた。

 2大会前に記録したベスト8越えを目指す徳島市立だったが、3年生が主力の大半を占めた当時とは違い、今年はスタメンの8名が下級生の若いチーム。立ち上がりは、河野博幸監督が「ほとんどが1,2年生なので緊張もあって普段通りはできなかった」と振り返った通り、思い通りのゲーム運びができない。淞南の伝統である縦に速い攻撃を防ぎきれず、FW加藤緒(3年)と香西銀二郎(2年)の2トップによる飛び出しや、MF三原弘稀(3年)の縦突破を許したが、しっかりゴール前を固めて失点を回避。MF川上楓雅(3年)は、「試合が始まる前から、我慢の連続だと思っていた。僕たちは試合の立ち上がりが弱いので、とりあえずそこを集中しようと話していた」と振り返る。

【フォトギャラリー】インターハイ2回戦 立正大淞南 vs 徳島市立

インターハイ2回戦 立正大淞南 vs 徳島市立(写真=森田将義)

 後半に入ってからは立正大淞南の攻撃に勢いが増し、我慢の時間が続いた。後半4分には前線とのスイッチから三原がシュート。続く5分には、左クロスから三原がヘディングシュートを放ったが、枠を捉えることができない。相手のミスに助けられながらも、何とか徳島市立が耐え凌いでいたが、7分にはサイドからリスタートしたボールを中央に展開。ゴール前に零れた所を、加藤緒が押し込んで立正大淞南が先制した。

 失点後も徳島市立に危ない場面が見られたが、「クーリングブレイクが終わって0-1の状況だったけど、全員で声を出して諦めなかった」(川上)。前半は失点を恐れて思い切って前に出られなかったが、試合終盤になると1点を返すために前がかりにならないといけない。守備に気持ちが傾いた淞南の事情も相まって、厚みのある攻撃を繰り出す場面が増え始めた。33分には、FW林秀太(2年)が前線とのワンツーで前に出てシュート。35+2分には、左を抜け出したMF佐藤秀一(3年)のパスを中央の藤島が合わせて、同点に追いついた。

 70+5分には再び、藤島が魅せる。MF柴田侑茉(2年)からのボールをフリーで受けると、「この試合でなかなかシュートを打てていなかったので、ボールを受けたらまずゴールを見ようとしていた」とスペースを前進。冷静にゴール右隅を狙ったシュートが、ネットに突き刺さった。得点後にタイムアップを迎え、徳島市立が2-1で勝利。逆転劇の立役者となった藤島は、「自分のゴールでチームを勝たせるのが目標。得点は獲れていたけどPKやこぼれ球だったり、自分の力で獲れていなかったので、自分の力で獲るのを目標にしていた」と笑みを浮かべた。

 河野監督は、「1失点で済んだから同点があった」と粘り強い守備陣を評価しつつ、「自分たちが行かないといけないとなった時に行けたのは良かったけど、最初から行けないといかない。アディショナルタイムに入ってからの戦いをもっとやって欲しい」と課題を指摘した。無得点のまま粘り強くPK戦で勝ち進んだ2大会前とは違い、攻撃で見せ場を作れるのが今年の強み。3回戦では、よりアグレッシブに戦い、先輩たち肩を並べるつもりだ。

(文・写真=森田将義)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)