「青森山田に0-9。あの負けがきっかけでチームが変われた」市立船橋が今季初勝利 

先制ゴールを挙げた市立船橋1年生のFW郡司璃来

  5月2日、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTの5節が行われ、市立船橋はアウェーで横浜F.マリノスユースと対戦した。開幕4試合で1分3敗。奪った得点は0で、3節の青森山田戦では0-9の大敗を喫した。思うような結果を残せていなかった中で、市立船橋は前節から先発を4名変更。キャプテンのFW平良碧規(3年)をベンチに置き、代役には1年生のFW郡司璃来が指名された。

 試合は序盤から横浜ユースに主導権を握られてしまう。MF角田惠風(3年)、MF島田春人(2年)にボールを散らされると、サイドハーフの佐藤未来也(2年)、横溝広太(3年)に個人技で局面を打開された。しかし、平良の代わりにキャプテンマークを託されたCB小笠原広将(3年)を軸に粘り強く対応。最後の局面では身体を投げ出し、相手に得点を与えなかった。すると、11分だ。MFイジェンバ・リチャード(2年)のラストパスに郡司が反応すると、相手CB諏訪間幸成(3年)のチャージを掻い潜って右足でフィニッシュに持ち込む。体制を崩された状況で打ったシュートがネットに吸い込まれ、待望のチーム今季初得点となる先制ゴールでリードを奪った。

 以降も相手に押され、市立船橋は守備に追われてしまう。20分には立て続けにピンチを迎えたが、GKドゥーリー大河(2年)の好セーブで失点を回避。38分には横溝にゴールを狙われたものの、DFのシュートブロックでゴールを許さなかった。

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 1-0で迎えた後半も守備に比重を置くスタイルでゲームを進めていく。前半同様にピンチを迎えた場面は一度や二度ではなかったが、強度の高い守りでなんとか凌いでいく。79分にMF磯ヶ谷佳心(2年)が放ったペナルティエリア内でのシュートも枠外になるなど、相手のミスにも助けられてリードを死守した。守備陣の頑張りに攻撃陣も限られた中でカウンターを狙っていく。すると、85分に待望の追加点が生まれる。MF松井達誠(3年)が速攻を仕掛けると、右足で強引にシュートを打つ。これが諏訪間に当たってコースが変わり、終盤に2点目をもぎ取った。

 アディショナルタイムに横浜ユースのDF西田勇祐(3年)にゴールを許したものの、市立船橋は2-1で横浜ユースを撃破。試合後、波多秀吾監督は3週間前の出来事がチームに大きな意味を持たせたと話した。

 「今までも守備をやっていなかったわけではないけど、色んな要因があって青森山田に0-9で敗れた。ただ、もう1ランク上を目指さないと本物にはなれない。あの負けがきっかけでチームが変われたと思う」

 屈辱の青森山田戦を経て、選手たちは自分たちで話し合いを重ねた。守備の基本を一から見直し、球際で戦う姿勢などを確認。そうした積み重ねを経て、勝点3を手にした。ようやく掴んだ今季初勝利。市立船橋がここからどのような戦いを見せていくのか楽しみだ。

(文・写真=松尾祐希)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 EAST
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