セットプレーから2発で仙台ユースが今季リーグ戦初勝利!仙台育英は猛攻及ばず

仙台育英主将MF島野怜はクロスやシュートで多くの決定機をつくり出した(写真=小林健志)

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北は7月7日、延期となっていた第2節、仙台育英高とベガルタ仙台ユースの対戦が、仙台育英学園多賀城校舎グラウンドにて行われた。

 仙台育英はここまで4試合を終えて3勝1敗の4位。7月3日の第10節は2点リードを一度追いつかれるも主将MF島野怜(3年)の2ゴールで盛岡商高を突き放し、快勝した。一方の仙台ユースは7月3日第10節で遠野と対戦したが0-4と大敗を喫し、最下位となった。6試合で3分け3敗と勝利が無い状況でこの試合を迎えた。

 前半先制したのは仙台ユース。5分DF佐々木裕貴(2年)のクロスにファーサイドでFW小野獅道(2年)が合わせて先制ゴールを決めた。その後は仙台育英もFW浅野塁(3年)やFW村井創哉(3年)が果敢にゴールを狙うが、仙台ユースGK佐藤清弥(2年)の落ち着いた対応もあり、シュートを決めきれない。仙台ユースもMF荒川颯磨(3年)やFW工藤紫苑(3年)がゴールを狙うが決めきれず、前半は仙台ユース1点リードで終えた。

 後半開始時、仙台育英はエースストライカーで負傷明けのFW佐藤遼(3年)をピッチに送り込み、巻き返しを図ったが、47分3年MF淀川誠珠(3年)のCKから混戦となり、最後ボールを受けたのはMF須田菖太(3年)。「チームのみんながファーで折り返してくれたので、あとは流し込むだけで、気持ち良く決められました」と鮮やかにゴールを決めてリードを2点に広げた。

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決勝点となったゴールを決めた須田と喜び合う仙台ユースの選手たち(写真=小林健志)

 その後は何としてでも追いつきたい仙台育英が猛攻を仕掛ける展開に。MF明石海月(3年)や島野が得意のサイドからのクロスで多くの決定機をつくり出した。そして59分浅野に代わって投入されたMF松本銀士(3年)は「0-2で負けていたので、自分がハットトリックしてチームを勝たせたい」と意気込んでピッチに入り、切れ味鋭いドリブル突破から何度もゴールに迫っていく。

 仙台ユースはDF太田翔瑛(3年)、DF大森悠(3年)が体を張って必死のディフェンスを見せるが、71分村井のクロスを受けた松本は「その前に島野からのクロスを受けたシュートを外してしまいました。中へ入る気持ちは良かったのですが、気持ちだけが前に行って早く入りすぎてしまったので、1個ためをつくって余裕を持って決められて良かったです」と振り返った通り、冷静にゴールを決めて1点差に詰め寄った。その後も仙台育英が猛攻を仕掛けたが、まだ未勝利の仙台ユースは全員が体を張ってゴールを守り、このまま試合終了。2-1で仙台ユースがプリンスリーグ東北今季初勝利を挙げ、8位に浮上した。

 仙台ユース木谷公亮監督は「相手よりも強度高く戦うことで、それをピッチで選手が表現してくれた結果」と試合を振り返った。決勝ゴールを決めた須田も「球際の強さが自分の特長なので、90分通してそれをやろうと試合前から決めていました」と球際の強い守備でチームに貢献した。また、DFリーダーの太田はなんと2ヶ月前までは長身FWだった選手。「クロスは人に合わせるので、人についてさえいれば、僕は身長があるのではね返せる自信があります」と187cmの身長を存分に生かして、仙台育英得意のクロスをはね返し、エアバトルでも強さを見せつけた。「1点決められましたが、最後守り切ったので良かったです」とDFとしての仕事を全うできたことに手応えを感じた様子だった。

 一方の仙台育英は特に後半持ち味のクロス攻撃が多く見られ、再三仙台ユースを脅かす場面をつくったがあと一歩及ばなかった。セットプレーで2失点を喫したことについて城福敬監督は「DFレギュラー陣がもう少し戻ってきたら。DFの緻密なところがちょっと甘かったです」と負傷者が多いこともあり、守備の詰めの甘さが見られたという。ただ、収穫は昨年8月前十字靱帯断裂・半月板損傷という大ケガを負い、ようやく復帰した松本のゴールだ。「みんなが選手権や新人大会に出ているのを見て、悔しい気持ちとかっこいいなと思う気持ちがありました。その気持ちを全部リハビリにぶつけてきて、今日復帰3試合目で初ゴールでした」。敗れはしたが、並々ならぬ気持ちで決めたゴールに充実した表情も見せた。

 両チームは中2日で迎える7月10日の第11節で、今度はマイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場に舞台を移し、再び対戦する。仙台ユース須田は「相手もさらにインテンシティ高く来ると思いますので、相手よりもう1つ上のインテンシティで立ち向かっていこうと思います」と語り、仙台育英松本も「3日後点を決めて勝たせる選手になりたい」と意気込む。10日の対戦も熱い試合になるのは間違いないだろう。

(文・写真=小林健志)

▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北
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