ルーキーのFW友坂海空が決めたゴールを守り切った新潟明訓が北越に勝利

新潟明訓FW友坂海空(写真=森田将義)

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021北信越の第5節が行われ、新潟明訓北越が対戦。後半25分にルーキーのFW友坂海空(1年)が決めたゴールを守り切った新潟明訓が勝利した。

 選手権予選の決勝まで進んだ昨年のチームから残るスタメンはFW内藤大夢(3年)のみ。一からのチーム作りを余儀なくされた新潟明訓だが、今年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、思い通りの強化ができなかった。4月に開幕したプリンスリーグも星稜との開幕戦以降、3連敗。「開幕から勝てなくて、気持ちが落ちていた」と主将のMF田村建人(3年)と口にする。

 初勝利を目指したこの日は、「(ゴールデンウイーク戦った)地区大会で疲弊していたのでコンディショニングを考え、前半は捨てて後半勝負だった」(坂本和也監督)というのがチームの狙い。前半はMF稲葉悠(3年)とMF水上陽生(3年)のダブルボランチを起点とした北越にボールを持たれる時間が続いた。ただ、北越はエースのFW小林謙心(2年)が怪我で出場を回避した影響が大きく、MF堀野辺空(2年)やMF嵐祥綺(2年)がサイドを仕掛けても、シュートまで持ち込めない。

 飲水タイムを終えてからは新潟明訓も攻撃にリズムが生まれ始め、前半30分には友坂から左から入れたライナー性のクロスをFW佐藤椋輔(2年)が頭で合わせ、北越のゴールを脅かした。狙い通り、前半を0-0で折り返し、勝負に出た後半からはテンポの速いパス回しからサイドを使い、相手エリアでの時間を増やした。後半13分にターゲット役となるエースのFW真保瑠輝(3年)を前線に投入してからは、攻撃の勢いは更に加速する。投入直後には新保のパスから内藤がDFの裏へと抜け出したが、タイミングよく前に出たGK内田智也(2年)に封じられた。試合が動いたのは、25分。右サイドからカットインを狙った新保がPA手前で倒され、FKを獲得すると、キッカーを託されたのは友坂。冷静にゴール右隅にキックを突き刺し、新潟明訓がリードを奪った。

新潟明訓vs北越(文・写真=森田将義)

 後半勝負との考えは北越も同じ。荒瀬陽介監督は「相手が前に出てくるかなと思っていたので、2トップに変えて前を狙おうと考えていた」と振り返る。41分には相手CKのクリアを素早く前方に入れると、FW林叶磨(2年)がドリブルで前進。アタッキングサードに入る直前で、DF裏へとスルーパスを入れたが、GK佐藤隆之助(3年)にクリアされた。

 試合はそのまま動かず、1-0でタイムアップ。念願の初勝利を奪った新潟明訓の坂本監督は「選手たちがよく戦術的に戦ってくれた。試合経験の少ない選手もいたので、選手には“ソウリョク”戦だよと伝えていたんですが、総力でも走力でも頑張ってくれました」と選手を称えた。勝利が確定した瞬間に涙を流す選手がいるなど、この試合にかける想いを感じる試合だった。

 昨年と一昨年はライバルである帝京長岡が選手権でベスト4まで進み、プロ選手を複数人輩出するなど県内での存在感を増している。「決勝で負けた昨年もメンバーに入っていた選手がたくさんいる。それぞれ悔しい想いをしていたので、今年は晴らしたい」と口にする田村を筆頭に、リベンジを果たして、次は自分たちが全国で活躍するんだと意気込む選手は多い。「高校サッカーで新潟といえば長岡になっているので、新潟に明訓ありというのを見せつけたい」と意気込む坂本監督も思いは同じだ。今回の初勝利を機に上昇気流を描けるか、注目したい。

(文・写真=森田将義)

▽高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2021 北信越
高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2021 北信越