弾丸ミドルで追加点を挙げた安野 高校3年で大きく成長した超攻撃的SBが集大成へ 

 試合は簡単なものにはならなかった。開始からボールを握った武南だが、守備を固めてきた川口北をなかなか崩せず。相手キーパーの攻守もあり、ネットを揺らすには至らない。

前半はこのまま終わるかと思われたが、それでも武南は39分、左サイドをMF飯塚翼がMF金子秀一郎とのワンツーで割ると、クロスにニアで合わせたMF鈴木豪流のシュートはキーパーに弾かれたが、そこにストライカーらしい嗅覚で詰めたFW大谷涼太が決めて試合を動かした。

後半も武南が攻勢を強める中で追加点は16分。直前にピッチに入ったMF矢地柊斗が右サイドで仕掛けると、その落としに後方から走りこんだDF安野天士が左足を一閃。直後弾丸のようなミドルがキーパーの手を弾きながら、クロスバーの下を叩き、ゴールネットに突き刺さった。

川口北はこの試合を通じて好守を連発したGK門馬翔輔を中心にしっかりとディフェンスラインと中盤の2ラインで守り、隙があればFW福間陸やFW川合健心がカウンターを放っていくなど、開始35分はほぼ狙い通りといっていい戦いを展開したが、前半終了間際の失点が響いた。

名門・武南にとってもやはり選手権の入りは難しいもの。内野慎一郎監督は「練習からこういう雰囲気になったり、のまれたり、うまくいかない、しっくりこないということもいろいろ想定して選手には言ってきたが、あまりリアルに伝わっていなかったというのが現状。ただ後半は交代選手も含めてよく理解してやってくれたのでそこは良かったかなと思います」とした。

次戦は大一番の昌平戦。両者が選手権予選で戦うのは2016年の準々決勝以来のこと。武南がペースを握るも0ー1で敗れた。指揮官宅のビデオデッキにはまだあの日のビデオが残っている。

「この3年は長かった。あの時のビデオはまだデッキに残っているし、夜中ポッと起きていきなりつけたりするとあのビデオがあったりする。あのビデオはもう100回以上見ています。選手たちにもミーティングで見てもらって「このユニフォームで涙を拭いているんだからな」と。だからなんとか持っていきたいし、想いが詰まったゲームにはしたいと思っています」。

連続ゴールが期待される大谷は、後期リーグ戦で2点を先行したものの追いつかれた試合を振り返り、「やっぱり意識するのは3点目。前回は2点奪って2点取られているので、やっぱり3点目っていうのが大事になってくると思う。自分がハットトリックを決めるだったり、3点目の決定的な1点を取ったりしてチームに貢献したい」と、3点目を勝負のキーに挙げた。

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