するとここからゲームは一気に加速する。直後の後半9分、市立船橋はDF植松建斗のフリーキックを森が斜めに走り込みながらヘディングで流し込んでこの日2点目で勝ち越し。かと思えば今度は流通経済大柏が16分、羽坂が相手ゴール前でディフェンスのボールをかっさらい、クロスに走り込んだ三好が決めて再び追いつく。

 それでも市立船橋はそのわずか1分後にFW松谷昂輝のスルーパスに抜け出したエースの鈴木がゴール前に持ち込んでシュート。一度はキーパーに弾かれたが、こぼれ球を自ら左足で打ち抜いた。終盤は相手の猛攻にさらされたが、試合を通して豊富な運動量と球際で危険なコースを埋めたMF町田雄亮や、対空で強さを見せたDF鷹啄トラビスを中心にこのリードを守り切った市立船橋が3年ぶりの栄冠に輝いた。

 キーワードとなったのは「市船化」だ。「夏までの戦いはやっぱりどこか粘り強さがないような、逞しさがないようなところがあったので、夏に関しては市船としてどうあるべきか、市船になろう、市船化しようというような話で全体ミーティングして、それに対して選手たちがよく頑張ってくれたんじゃないかなと思います」と波多秀吾監督はいう。夏まであれば「失点を喰らうと浮き足立ってしまうことがあった」という中で決勝は追いつかれても連続失点は許さず、逆に取り返しに行く強さを見せるなど、粘り強さが光った。

(文・写真=石黒登)

▽第98回全国高校サッカー選手権千葉予選
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