後半立ち上がりから、相手ゴールに迫る日大鶴ヶ丘。左サイドから7番渕沢がクロス気味のシュートを放つも、これはGK斎藤がギリギリでセーブ。更にコーナーのチャンスから、3番伊藤碧斗が打点の高いヘディングを放つも、またしてもGK斎藤が立ちはばかる。続く日大鶴ヶ丘の攻撃、後半14分には7番渕沢が、中盤から相手DFの間をすり抜けボックス内に進入する。そのままシュートを放つも、これはGK斎藤がしっかりキャッチ。同15分、都立武蔵丘は11番村上がスピードで相手を置き触りにすると、ゴール左隅にシュートを放つ。しかし、これはGK伊藤巧真がファインセーブ。どちらのチームもGKが観客を魅了する。都立武蔵丘は3番八木、5番小池、6番茂木、20番野澤のDFラインが、相手のキーマンを潰しにかかる。10番小久保、11番村上、9番村瀬が相手のDFに襲いかかりカウンターを狙う。最後尾は守護神斎藤がゴールを守り、相手の攻撃を抑え込む。日大鶴ヶ丘は6番篠原、7番渕沢、13番西道昴、10番嶋根を左サイドに集め、細かいパスワークでポゼッションを圧倒的に支配する。さらに全体としては、集中と拡散を使い分け、ボールを常に保持しながらゴールに迫る。

 同22分、日大鶴ヶ丘10番嶋根が相手のDFラインの綻びを突き、裏へ抜け出す。キーパーとの一対一を迎えるが、冷静にゴール右隅へと流し込み、遂に2-1と逆転に成功する。ここまで、日大鶴ヶ丘の攻撃を抑えてきた都立武蔵丘だが、一瞬の隙を突かれてしまう。そして、同38分、日大鶴ヶ丘10番嶋根が高い位置でインターセプトをすると、キーパーを引きつけ走り込んだ11番小林に優しいパス。これを小林がしっかりと決め、駄目押しの1点を奪う。このまま試合終了となり、一度は奇襲を成功させた都立武蔵丘であったが、ポゼッションで上回った日大鶴ヶ丘が次に駒を進めた。全体でボールを保持したが、その中でアンタッチャブルの存在として常にボールに絡み続けた渕沢には都大会でも期待したい。

(文・写真 石津大輝)