写真:都大会時の駒澤大高の横断幕

これぞホームの力、駒澤大学高等学校が松山工の圧力を跳ね返す逆転勝ちで初のベスト8!

 松山工は50年ぶり2回目、駒澤大は初のベスト8を賭けた3回戦。両者は公式戦初対戦、加えて第68回全国高校サッカー選手権決勝で共に主将として対峙した南宇和(愛媛)OBの松山工・大西 貴コーチと、武南(埼玉)OBの駒澤大学高等学校・大野 祥司監督も指導者として公式戦初対決となるなど、様々な部分で興味深い対戦である。

 駒澤大学高等学校のホーム感がいっぱいに漂う駒沢競技場の熱気に煽られてか、試合は前半から激しい展開となった。松山工は右からSB兵頭俊昭(3年・主将)、左はMF日野貴登(3年)がプル・アウェイの動きを伴い、巧みなサイドアタックでゴール前に進出。対する駒澤大学高等学校も主将の深見侑生(3年)と野本克啓(3年)の2トップが相手DFにギャップを作り、チャンスを演出。結果的には前半スコアレスに終わったが、時の経つのも忘れるほどの40分間だった。

 そんな前半を経て後半、試合は一気に動く。3分、松山工はPA左でFKを得るとFW野川倖稀(3年)の速いボールにDF志摩奎人(1年)が頭で逆サイドに流し込み先制。駒澤大学高等学校の堅守をついに破る。

 しかし、駒澤大学高等学校にはもう1人の味方がおいた。失点に落胆するどころか、ますますボルテージを上げるバックスタンドの応援。「ゴールゴールゴール」の声にギアを上げた11人は、ボランチ春川龍哉(3年)のロングスローなどを使い反撃を開始。11分に約40mの位置からのFKに右サイドからゴール前に走り込んだCB佐藤遥大(3年)が頭2つ飛び出たヘディングで同点に追い付くと、その後も「4-4-2」同士のマッチアップを避ける変幻自在のシステム変更と粘り強い守備で松山工の度重なる攻勢をしのぐ。

 そして後半28分、駒沢競技場に再び歓声が上がる。ボランチ竹上有侑(3年)を起点にMF栗原慎一郎(2年)の縦パスをPA内で受けたMF矢崎一輝(2年)がワンタッチパス。そこで右脚を振りぬいたのは後半15分に途中投入され、ドリブルと積極的なシュートでアクセントを与えていたMF菊池 雄介(2年)であった。駒澤大逆転。松山工も再び同点を狙い続けたが、ついにスコアを動かすことはできず。凱歌は駒澤大学高等学校に上がった。

 かくしてホームの力を存分に活かして初のベスト8進出を果たした駒澤大学高等学校。準々決勝もインターハイ王者・東福岡(福岡)相手に駒沢競技場開催の利を十分に利し、ピッチ・スタンド一体となって勝ちに行く。

(文・編集部)