大成を率いる豊島裕介監督(写真=多田哲平)

 限られた時間のなかで、いかに密度の濃いトレーニングをするか。それが、コーチとしての期間も含めて2006年からチームを指導している豊島監督のテーマである。

【フォトギャラリー】大成 vs 都立葛飾野

 「選手たちには『東京のテッペンを取りたいなら、それだけのトレーニングの質と強度でやっていかないといけない』と常に言っています。少しでも緩ければ、『これではダメだ』と話をして徹底させています。緩さは絶対に許さない。特に相手を勇気づけさせてしまうプレーはさせないように。今日の80分間もそこは絶対にやっていけないと言っていました」

 だからこそ選手たちは、スコアが開いても最後まで集中を切らすことなく、ハイパフォーマンスを続けたのだ。豊島監督もその点で選手たちの成長に手応えを感じている。

 「だいぶできるようになってきましたね。反応も早くなっていますし、言ったことも理解してくれるようになりました」。

 ただ一方でただ「もう一枚皮を剥けてほしい」と、さらなる要求を忘れない。

 「もっと自発的にやってくれたら。僕はそういう姿勢が大好きなので、選手たちには『こうしたい』と言ってきてほしいなと。お互いに喋れる関係性は作っていますしね」

 豊島監督が大切にしているのが、選手との対話だ。

 例えば選手たちのコンディションについて、常に気にかけ、情報共有を欠かさない。

 「追い込みたい2週間があれば、事前に選手たちには伝えます。『食事とケアなどメンテナンスを各自でしてくれ』と。強度を上げない調整の週もそうです。逆に選手たちからも身体が張っている時には『結構疲労が溜まっていて』と言ってきてくれたりもします。そこは密にコミュニケーションして取り組んでいます。僕も人間で間違いがあるものなので、そうした会話で気づかされることもあるんです」

【次のページ】 楽しみですね、彼らがどれくらいできるのか

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選