神村学園の守護神GK広川豪琉

 3月13日、宮崎県内で九州新人大会の代替大会、九州高等学校サッカー大会~九州はひとつ~の決勝が行われ、神村学園(鹿児島)が鹿児島城西(鹿児島)を下し優勝を果たした。準決勝に続き決勝でも勝負はPK戦に突入。そのPK戦でチームを勝利に導いたのが神村学園の守護神GK広川豪琉(ひろかわ たける)だ。

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 広川は優勝を決めた試合後「この大会は塁も師王もいなくて、いるメンバーで戦いました。自分は去年から試合に出させてもらっていて、自分のせいで負ける試合も多くて。今日の決勝も自分のせいで負けそうだったところを仲間が助けてくれて、もうそうなったら"あとは自分がやるしかない!"と思っていました」とコメント。

 PK戦に突入した際の心境については「PKは止めれる自信がありました。相手に中学校で一緒のチームだった選手もいたので(手の内が)わかっていたのもありました」と明かした。試合中には自らのミスをきっかけに失点を喫した場面もあり「正直、去年までは、"先輩の試合に出させてもらってミスをしてしまった"と消極的になってしまっていたんですが、今日はミスした後に仲間が励ましてくれて、"(消極的になったら)ダメだ!"と思ってそこから挽回できた」とミスを引きずらずにPK戦で見事なシュートストップをみせた。

 確かにミスもあった広川だったが、最後尾からチームを動かすコーチングの質は間違いなく神村学園の武器と言えるものだった。味方を鼓舞する声もあるが、広川のコーチングの特徴は"具体的"な内容が多いこと。本人は「全部見えている訳ではないんですが、全体を見ながらシュートを打たせないコーチングを意識している」とその意図を話す。

PK戦でシュートをストップする神村学園の守護神GK広川豪琉

 試合中、神村学園の選手たちはピッチ内で頻繁に意見を交換している。試合の流れについてや、相手の選手の特徴や状態など、様々な声が飛ぶ。広川はコーチングに関して「声が大きいのもあるんですが、去年からレベルの高いところでやらせてもらっていて、仲間が言っくれる事にプラスするのを意識してコーチングしている」と、チームで出ている意見をまとめる役目も果たしていると話した。

 そのコーチングの他にも「左足のキックにも自信があります。今年はシュートストップにも取り組んでいる」という広川は「去年は選手権で1回戦で負けてしまった。神村の歴史を変えないといけないと思っているので、新人戦は優勝できたので、総体、選手権、そしてプリンスでも優勝してプレミアに昇格したい」と今年は全ての大会で優勝を目指す。

 「父もGKで、GKの事も教えてもらったんですが、一番教えてもらったのは"サッカーを純粋に楽しむこと"をずっと言われてきました」という出身チームでもあるソレッソ熊本で監督を務める父親から、"琉"球の海のように"豪"快な男になって欲しいと名付けられた名前のように、広川が豪快な守護神になって神村学園の歴史を変えることが出来るか。彼のコーチングやキックにも是非注目して欲しい。

【プロフィール】
所属チーム/神村学園
学年/2年
身長/175cm
体重/70kg
ポジション/GK
生年月日/2004年8月19日
中学時所属チーム/ソレッソ熊本

 (文・写真=会田健司)

▽2022 九州高等学校サッカー大会~九州はひとつ~
2022 九州高等学校サッカー大会~九州はひとつ~