試合前に選手たちに指示を送る大阪学院大高の小野原明男監督

 プリンス関西プレーオフの決定戦、大阪学院大高(大阪1)が奈良育英(奈良1)に前半で3-0とリードすると、後半には更に大量6ゴールを叩き込み9-0の大勝。大阪学院大高が選手権奈良大会王者に衝撃のゴールラッシュをみせ、悲願のプリンス1部初昇格を飾った。インターハイや選手権ではプリンス勢相手に自分たちの力を発揮できないままに敗退。それでもこの最後の公式戦でようやくポテンシャルを発揮した形だ。全国大会に出場経験がありながら意外にもプリンス1部初昇格となった大阪学院大高を率いる小野原明男監督に試合後お話を伺った。

ーー大一番で見事な大勝でしたが?

 やっと会心の試合が出来たという感じです。本来力のある学年だったんですが、インターハイや選手権といったトーナメントだと力が発揮できませんでした。リーグ戦だとこういう流れのサッカーが出来ていてしっかり1位を取れたんですが、インターハイや選手権は苦労してしまったので、その二の舞にならないように凄い準備をしました。でもやっぱり最後は3年生たちが頑張ってくれたと思います。

ーー途中から出てきた3年生もみんな活躍しましたね?

 今年の3年生は本当にいい学年で力のある子達でしたから、それがここで本来の力を出せたのは良かったことだと思いますね。

ーーインターハイや選手権と今日の試合ではどこが違ったんでしょうか?

 やっぱりトーナメントとリーグ戦の違いとか、一発勝負の緊張感とか、そういうところでちょっとした"ズレ"があったのかなと。チームとして連携面や連動を重視しているチームなので、そこのちょっとした"ズレ"が歯車を狂わせて、一気に崩れる可能性のあるサッカーなので。今日みたいに連携面とか、全員が連動して守備も攻撃も噛み合えばこうやって上手くいくんですけど、トーナメントとかで少し狂うと苦労してしまいました。なのでトーナメントや公式戦など色んなことを想定して、もっと練習から突き詰めてやらないといけないなと思いましたね。

ーー今日の試合を観てしまうと選手権も勿体なかったなと感じてしまいますよね?

 本当にそこは3年生に申し訳なかったです。もっと大きな舞台で、全国の舞台でこういうサッカーをみせたかった。それを目標にやってきた部分はあったので悲しかったですね。

ーーFW青木君が口火を切る活躍でした。1回戦はすぐ交代になっていましたが?

 怪我で交代だったんです(笑)。だから逆にみんなが疲れている中、今日は凄い身体が動いていましたね(笑)。ちょっとした怪我があったので早い段階で大事を取って交代したんですが、今日みたいに点を取れる3年生が控えにも沢山いるので。ただ今日は彼が一番コンディションが良かったですね。

ーーMF新名君は空中戦にも強いボランチで、凄い活躍でしたね?

 本当にいい選手で、このサッカーをする中で一番欠かせない選手で、守備面でも攻撃面でも一番カギを握る選手ですね。欠けてはいけない選手ですので、今日は真ん中で舵を取りながら、守備でもディフェンスラインの前で蓋をしてくれました。本当に攻守に大活躍してくれました。

ーー3年生はこれで引退ですよね?

 はい、これで引退です。大学でサッカーをする子が沢山いて、ほとんどが大阪学院大に上がるので、大学でも活躍してプロになってもらいたいですね。もっと上のステージでやって欲しいという気持ちが強いです。

ーーこれでプリンス昇格が決まりましたが、初めてですよね?

 初めてです(笑)。今年ガンバに入る山見大登(大阪学院大高→関西学院大→ガンバ大阪)の代の時に上がりたかったんですけど、上がりたくても上がれなくて、大阪を勝ち抜くのも簡単ではないので、やっと昇格できました。来年、1部と2部が出来るという事で一発で上がれるこのチャンスは逃したくなかったので、チームとしての大きな目標を達成できて本当に良かったと思います。

ーーでは、最後に来年プリンスを戦う意気込みを教えてください。

 やっぱり大阪で勝つ為にはプリンス1部リーグで勝負しないと、全国に出るにしても、全国で戦うにしても、そのステージで勝負していく事がベースになると思うので、今年もトーナメントでプリンス勢にやられましたので、大阪1部リーグもレベルが高いですし、大阪のチームはどこも良いチームなんですけど、やっぱりこういう舞台でしのぎを削る事が、大阪学院大高にとって重要だと思うので、ただ単に上がるだけではなくて、その先のもっともっと上を目指して強くしていきたいと思います。

(文・写真=会田健司)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカーリーグ2021プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)
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