6年ぶり2度目の優勝を飾った阪南大高の濱田豪監督

 選手権大阪大会決勝で履正社を3-0で破り6年ぶり2度目の優勝を飾った阪南大高。準決勝の大阪産大附戦ではなかなかゴールを割れずに先制点を奪われ苦戦を強いられた阪南大高だが、決勝では前線からハイプレスを仕掛け、見違えるような内容で履正社を圧倒した。

 「この大会期間中にやり続けてきた"自分の気持ちしっかりプレーに出す"っていう事を頭からしっかりやった結果だと思います。先週、先々週と苦しかったんですけど、今日はその分も選手たちがやってくれたと思います。」と試合後振り返った濱田豪監督。

 今大会を通し"矢印は全員前だ"を突き通してきたが、準決勝の大阪産大附戦では攻め急いだ部分もあり、攻撃が単調になってしまう場面も散見したが、決勝に向けて見事に課題を修正してきた。「僕が"落ち着いてやりなさい"というタイプなので、ここ一番のこういう舞台で今まで上手くいかなかった」と決勝で何度も跳ね返されてきた自身の経験から、濱田監督が出した答えが"矢印は全員前だ"という合言葉だった。

 濱田監督は試合中もどちらかというと、落ち着いてじっくりと戦況を見つめるタイプの監督だ。しかし今大会では選手たちに気持ちをプレーに出す事を求めた。「彼らは経験していないですけど、僕自身の今までの反省を彼らに伝えて」と、気持ちで相手に勝つという大舞台で必要な要素を、この選手権では"矢印は全員前だ"という合言葉として取り入れた。相手の攻撃を受けるのではなく、前からのプレスが特徴の履正社に対し、その上をいくプレスを仕掛けるという強気な姿勢が試合内容を好転させた。

 3点リードで迎えた後半の対応も見事だった。後半開始からではなく、少し時間をずらして選手と配置を変えてきた履正社に対して、濱田監督はすぐさま対応した。「相手が3点ビハインドという事で動きがあると思っていたんですが、上手くワンテンポずらして動いてこられたので、戸惑う時間があったんですけど、そこをゼロで抑えられたところがキーポイントだったと思います」と駆け引きの中で、1年生の8番MF宮崎悠大を投入し5バックを形成し5-4-1でサイドのスペースを埋めたことで相手の勢いを止める事に繋がった。

 インターハイの時のチームと比較して「やられてからしか出来なかったのが、自分たちからアクションを起こせて、それが得点に繋がった。それを最高の舞台で出せた」と、この大会で試合開始から自ら仕掛けていけるようにチームが成長したと満足そうに語った指揮官。「本当に素晴らしいスタジアムでサッカーを出来る幸せを感じました。やる前はそんな余裕はなかったので圧倒されました」と初開催となった吹田スタジアムで最高の結果を出した。

 6年ぶり2度目の出場となる全国大会出場については「前回は初戦で負けてしまって行ってすぐ帰ってきてしまったので、初戦突破が目標。選手権で勝つって事を味わいたいです」と控えめに抱負を語った濱田監督は就任から22年目で2度目の全国大会でどこまで勝ち進めるのか。阪南大高は12月29日に行われる1回戦で福井県代表・丸岡に挑む。

(文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選