古豪・清水東の渡邊勝己監督

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選の準決勝、常葉橘戦に勝利し、29年ぶりの全国大会まであと1勝と迫った古豪・清水東。決勝の相手は4年前のインハイ予選とまったく同じ静岡学園に決まった。準決勝後、チームを率いる渡邊勝己監督に、試合の振り返りや決勝に向けての話をうかがった。

ーー劇的なゲームになりましたが試合を振り返っていかがだったでしょうか?

 ちょっと想定外のことがいろいろ起きたんですけれども…。後半は特にちょっと攻め切れなかったなと思います。守備のことを少し意識し過ぎてしまって、自分たちが消耗してしまい前に出れなくなってしまいました。「いつ失点してしまうのかな」と思っていたんですけれども、最後の最後に1点取ることができてよかったです。ホッとしています。

 ここまできたら相手の個の強度が違うので、ウチは県のBリーグなので、プリンス勢とやるということで、前回の藤枝東戦を想定して、準備はしてきました。守備の方はうまくいってよかったです。

ーー先制して終盤追いつかれた時はどういった思いでしたでしょうか?

 その前の時間帯からずっとを仕込まれていたのでどうやって押し返そうかなと思い、元気な選手を入れて押し返したかったんですけれども、思うように機能しなかったものですから、取られるべくして取られた失点だったのかなと思っています。

 後半のアディショナルタイムに点が入ったんですけれども、じつはなんとなく「負けないだろうな」と自分の中では思っていたんです。2試合連続劇的な試合だったので、身も細る思いです(笑)。普段から「粘り強くやれ」と言っているので、そういう姿勢が出たのかなと思っています。

ーー静岡の高校サッカーを引っ張ってきた清水東として29年ぶりの全国大会に出場する勝つ意義、どんなところにあると思われますでしょうか?

 いろいろな学校がいろいろな“色”を出してしのぎを削るのが静岡のサッカーのおもしろいところだと思っています。藤枝東、清水桜ヶ丘、静岡学園…、各チーム色があって。ウチもその仲間に早く戻りたいなと思っていますので、もしウチが全国大会に行けるようなことがあれば、そういった面白さがさらに増えるのかなと思っています。皆さんが期待してくれている「静岡の高校サッカーっておもしろいな」と言ってもらえるような、そんな時代がまた来るのかなと思っています。

ーー決勝はどんな“色”を出して勝負したいと思っていますでしょうか?

 「ねばれ はしれ」です。やっぱり静岡学園さんにしても藤枝東さんにしてもスター選手がいますけれども、ウチは本当に茶畑から拾ってきたような選手ばかり(笑)。真面目だけが取り柄のような選手たちが、ひたむきに頑張ってやればここまで来れるんだよと言うのを見せたいと思います。 

ーー県大会を決めた時点ではチームとしてはあまり良くなかったと思うんですけれどもそこからここまでの成長というのはどう感じていますでしょうか?

 今年のチームに関しては、元々ゴール前の崩しという部分ではある程度できていて、チャンスを作ることはできていた中で、なかなか決めきれないなというのはあったんですけれども、今日はFWの望月優太と中山大耀の2トップが揃って点を決めてくれました。あの子たちが調子をあげてきてくれているということが大きいのかなと思います。

試合を見つめる清水東・渡邊監督

ーーFW中山(大耀)選手が今大会すごく結果を残していると思うんですけれども改めて彼の特徴、良さというのはどういったところでしょうか?

 春先(3月ごろ)からすごく良くなってきて。元々感覚的な部分ではあったと思うんですけれども、自分の中で得点を取る形が出せるようになってきたのかなと思っています。 

ーー今日(準決勝)の試合などは切り替えなども素早くやっていたと思うのですが、守備の評価としてはいかがでしょうか?

 よく頑張ったと思います。去年などはプリンス勢と対戦するところまではいかなかったものですから。私が清水東に来てから7年ですが、ずっと「プリンス勢をどうやって倒すか?」というところを考えてやってきていたんですけれども、ウチが勝つならこういうゲームなのかなと思っていました。

ーー準々決勝で藤枝東に勝って、準決勝で常葉橘に勝つというのは4年前のインターハイ予選とまったく一緒ですね?

 そうですね。4年前とまったく一緒となると、決勝は静岡学園さんになりますね。

ーー先ほど「負けないだろうな」とおっしゃっていましたがPK戦になったとしても負ける気はしなかったでしょうか?

 前の試合の藤枝東戦(試合終了間際に同点としPK戦で勝利)も劇的なゲームでしたし、やっぱりこう、本当にすごく真面目で、すごくいい子たちなので、世の中捨てたもんじゃないというか、「あの子たちなら勝ってくれる」という気がしていました。

ーー藤枝東戦に勝利してから、選手に自信などがついてきた感じなのでしょうか?

 いいモノは持っているんですけれども、よく言えば謙虚、悪く言うと自分たちを過小評価し過ぎなところがありました。私自身、彼らに対しては「本当はももっとやれるのにな」という気持ちをずっと持っていました。春のフェスティバルの時にも国見や浦和レッズユースなどと試合をやった時に、ある程度できていたのでプリンス勢と試合をしても「絶対に見劣りしない」と思っていました。ただ、ここに来てやっと自分たちの力を信じられるようになってきたと思います。力はあると思います。

ーー決勝に向けて意気込みをお願いします

 静岡学園さんには4年前も決勝で負けていますし、ウチが格下であることは変わりはないので、思いっきりぶつかって勝ちたいなと思っています。29年ぶりになるんですかね?久しぶりの全国大会を目指して頑張りたいと思います。おもしろい展開になってしまうと負けてしまうので、ウチらしい戦いをして勝ちたいと思います。

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選