大津イレブン(写真=松尾祐希)

 3大会連続でインターハイ出場を目指す大津が順当に決勝へ駒を進めた。

 今年の大津は春先から思うように結果を残せず、2月の九州新人戦では9年ぶりにグループリーグで敗退。過去8大会で優勝4度、準優勝2度と圧倒的な結果を残していただけに、少なからずショックがあった。しかし、この敗戦をきっかけにチームは復調し、4月に開幕したU-18高円宮杯プレミアリーグWESTでの経験を経てより強さが増した。

 とりわけ、中盤で攻守の大黒柱を担うキャプテンのU-18日本代表のMF森田大智(3年)は見違えるように逞しくなった。

 九州新人戦の予選リーグ最終節後に責任を感じて涙を流していた10番は、プレーだけではなく精神面でも大きく成長。今までは“ミスをしない”選手として計算しやすい選手だったが、攻撃では自らゴールやアシストに絡み、守備でも自分でボールを奪って即座に前に出るプレーが目立つようになった。

 「キャプテンがやるしかないと思っているし、言われている。守備も攻撃も自分がやってやろうという気持ちがある」

 本人が言うように6月1日に行われた慶誠とのインターハイ熊本県予選・準決勝でも、縦横無尽にピッチをかけて存在感を発揮。前半31分にはボランチの位置から左サイドを駆け上がり、先制点のきっかけとなるクロスをゴール前に入れた。守備でも果敢にアタックし、何度もボールを奪取。攻守で違いを作る選手に変貌を遂げ、誰からも頼られるキャプテンになった。その森田の取り組みは他の選手にも波及しており、U-18日本代表候補に選ばれた191cmのGK佐藤瑠星(3年)やU-17日本代表候補で191cmの大型FW小林俊英(2年)も逞しさを増した。

 また、今予選の準決勝では代表組以外の活躍も目立ち、機動力が武器のFW上塚蓮(3年)が先制ゴールを奪えば、後半には左サイドハーフの川口敦史(3年)が技術力の高さと突破力を発揮して2ゴールを挙げた。

 選手たちの成長ぶりに山城朋大監督も目を細める。

 「プレミアリーグを経験して、選手たちの顔付きが変わった。自分たちのやり方に自信を得た。今回の総体予選は固さもあるけど、タフさとかも出てきたので例年のように勝利にこだわる良い雰囲気が出てきたと思う」

 九州新人戦で味わった悔しさを再び味わうつもりはない。2日に行われる秀岳館との決勝。この4ヶ月の成長を示すためにも負けるわけにはいかない。

(文・写真=松尾祐希)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選