山梨学院が強みを活かし昌平撃破(写真=小室功)

 1月5日、第99回全国高校サッカー選手権の準々決勝が行われ、千葉県のフクダ電子アリーナの第1試合では山梨学院高等学校昌平と対戦。開始早々の7分にFW久保壮輝(3年)が挙げたゴールを守り切り、山梨学院が11年ぶりの4強入りを決めた。

 値千金の一撃だった。前線に実力者を揃える昌平に対し、山梨学院の狙いは粘り強く守りながらセットプレーからの攻撃。「平均身長やミスマッチを考えつつ、お互いに身長の高いセンターバックがいる中でうまく自分たちの強みであるロングスローやCK、FKからチャンスを作れた」と長谷川大監督が胸を張った通り、前半7分に迎えたチャンスを確実に生かした。FW野田武瑠(3年)のFKからDF一瀬大寿(3年)が折り返すと、久保がヘディングでネットを揺らした。

 久保にとっては今大会初ゴール。今季は練習試合で得点を挙げてきたものの、公式戦になるとゴールに恵まれず、FWとして誰よりも悔しい想いを味わってきた。無得点に終わった藤枝明誠との3回戦後にはPK戦までもつれてしまった責任を感じ、涙を見せていたという。

 長谷川監督からも「ここで(得点を)入れないと次は無いよ」と言われていた中で、試合前に「今日はお前だよ。お前が今日決めるんだ」と発破をかけられていた。その檄に応える先制弾。チームを勝利に導く活躍で一躍ヒーローとなった。 攻撃陣にはエースの野田以外にも茂木秀人イファイン(2年)らがベンチに控えており、ポジション争いは激しい。特にFWは結果が求められるポジションで、ゴールという分かりやすい指標もある。そうした危機感を力に変え、結果を残した久保の活躍はチームにとってもプラスになるのは間違いない。

 次なる相手は攻撃的なスタイルが売りの帝京長岡。昌平戦同様に守備の時間が長くなる可能性が高いだけに、限られたチャンスをモノにする決定力がFWに求められる。次もゴールを挙げ、主役になれるか。調子を上げてきた山梨学院の20番から準決勝も目が離せない。

▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権