県立浦和 本田哲也監督(写真=河野正)

――「尚文昌武」という校訓を掲げていますが、選手にも意識づけしているのでしょうか?

 文武両道ということですが、学校の中にいるとこの言葉にこだわるというより、勉強もスポーツもとにかくすべてのことに頑張ってやってほしいという思いしかありません。社会に出るとすべてをやってきた優秀な人がいて、そういった人たちと肩を並べるには、君たちも同じように全部やり切らないといけないぞ、というイメージで伝えています。

――浦高生だからこそ、という指導方針はありますか?

 赴任当初はすべてを管理的にやらなきゃという義務感がある一方、“だけど浦高生だしな”という思いもあってそのバランスが難しかったですね。自分が伝えないと、教えないといけないという気負いがあり、指導にも余裕がなかった。でも最近は、 もっと生徒に任せてもいいかなと思えるようになりました。だからサッカー「を」教えるというより、サッカー「で」いろいろなことを教えるという考え方に変わってきたのです。考え抜く力を持った生徒が多いので、自分たちで話し合って導き出した答えというのは、指導陣の考えを超越することもあります。そばで見守り、必要な時に私が培ってきたものを伝えるやり方が、ここ2、3年でようやくできるようになりました。赴任して1、2年は選手の力をあまり伸ばしてあげられず、申し訳なかったと思っています。

――練習や試合を通じて考えるヒントを提示しているのですか?

 そうです。「こうやればこうなるよ」という伝え方より、「君たちならここまではいけるんじゃないか、こういうこともできるんじゃないかな」とシンプルに提案し、そこに向かうためには何が必要なのかを自分たちで考えてもらいます。

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