第94回関東大学サッカーリーク゛前期1節 対国士舘大学戦(写真提供=桐蔭横浜大学)

 2013年に関東大学サッカーリーグ戦1部昇格。以後2017年、2018年と全日本大学サッカー新人戦を連覇。2019年はリーグ戦1部、全日本大学サッカー選手権ともに準優勝するなど、ファンや関係者から大きな注目を集めている桐蔭横浜大学サッカー部。新型コロナ感染拡大という今までとは異なる状況化で、チームはどのように活動し、シーズンをどう戦ってきたのか…。安武亨監督に話を伺った。

ーーコロナ禍という今までとは異なる状況下でのシーズンを振り返っていただけますか?

 もう今シーズンはリーグ戦ができただけで感謝のひとことしかないですね。正直なところ、このようなコロナ禍の状況では「中止」という選択がベストだったんじゃないかと思うんですよ。何かトラブルが起きたら色々な所から叩かれる可能性があるという中で、学生、とくに4年生のことを考え、関東大学サッカー連盟の理事長で、流通経済大学サッカー部監督の中野(雄二)先生をはじめ、運営に携わる多くの方々がリスクを負い、矢面に立ってくれたおかげでなんとか開催することができて、本当にありがたかったです。2019年のインカレで準優勝した時は3年生が中心でしたし、今年は4年生が8人も出ていましたし、正直今年は優勝できると思っていました。本当に日本一になれると思っていました。その力は十分に持っていたと思います。だからこそリーグはやりたかったんです。学生たちもやりたいと言っていましたし。

 もちろん理由はそれだけではありません。4年生のうち半分くらいは、大学卒業と同時に本格的なサッカーから離れるんですね。十数年もやってきたサッカーを辞める最後の年に試合ができないなんて、こんな可哀想なことがあっていいのかと思っていました。他の指導者の方も同じだと思います。そういう中でリーグ戦を開催していただけたことには本当に感謝しています。そのかわりチェックも厳しかったです。毎日検温して報告する義務もありましたり、検温のチェックミスがあれば2週間出場停止になったり、ルールは徹底されていました。体温が37度5分以上あれば、ただの風邪であろうと胃腸炎であろうと2週間出場停止でしたし、今年はかなり厳しかったです。開催する以上当然ですけれど、学生たちも毎日必死に検温してましたね。

そんな中で開催されたリーグ戦では5位という結果でしたが?

  もちろん結果としては納得のいくものではありませんでしたが、それ以上にリーグ戦が無事に開催できたということの方が大きかったと思っています。目標としていた日本一になりたかったのは当然のことですが、結果的に7人をプロに送り出すことができたという点に関しては達成感みたいなものもありますね。ただ、「プロになった」のはあくまでも通過点で、プロで活躍できる選手にならないと意味がありませんから。そういうことは選手たちにも話をしています。総括するとチームとして成績が落ちた時期もあったんですけど、そこからまた上がって行くことができて、選手たちの成長をとても感じ取れたシーズンでもありました。

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