米子北の中村真吾監督

 全国高校サッカー選手権大会の出場は10年連続15回を誇り、2017年から18年は2種年代最高峰のプレミアリーグに参戦した米子北。山陰地方で圧倒的な力を誇示している強豪校にとって、昨冬の檜舞台はあまりにも残酷な結果だった。

 準優勝を果たした青森山田に0-6の大敗。為す術もなく敗れたあの屈辱から約3ヶ月。米子北が巻き返しを図るべく、再スタートを切っている。

 

 今季の武器は組織力。昨季はDF高橋祐翔(大分)、DF岡田大和(福岡大)、MF原田海(鹿屋体育大)といったタレントを擁していたが、新チームには個で勝負出来る選手がいないからだ。ハードワークを厭わない献身的な姿勢で戦いながら、いかにチーム力を高められるかがポイントになる。また、今季は昨季の選手権で露呈した課題を克服するべく、新たなスタイルにもチャレンジ。そこで今回は中村真吾監督に新チームの現在地を尋ねてみた。

――昨季の高校サッカー選手権は悔しい結果に終わりました。

 堅守を売りにやっていたチームとして、青森山田に6点取られたのはショックでしたね。過去を振り返っても、青森山田とは0-1とかPK戦で決着が付くことが多かったので、0-1もしくは0-2になれば、攻めに転じるつもりでした。フォーメーション変更を試みて攻撃に出たら、全部裏返されたんです。そこで感じたのは、攻撃から守備に移る難しさでした。米子北は良い守備から良い攻撃を仕掛けるスタイルが武器ですが、攻撃から守備に移る練習をやれていなかったのでカウンターで返り討ちに遭ったんです。青森山田からすれば、自分たちの攻撃を防ぐのは余裕だったんだなと。前半から守備だけで戦っていれば、違ったかもしれませんし、前半は通用している感じがあったのも事実です。ただ、ミスやイレギュラーな形で失点をして攻めに出た時に課題が顔を出しました。最終局面のクオリティーや、攻撃から守備に移った時の戦い方。なので、そこは新チームで取り組まないといけません。攻撃をしないと攻撃から守備の概念が出てこないので、攻撃を意識してやっていく戦い方に今年は取り組みたいと思っています。

――具体的にはどのような形で、攻撃の引き出しを増やしていこうと考えていらっしゃいますか。

 去年までもそうでしたが、今年も全国トップレベルの選手がいるわけではないので、攻撃の選択肢をある程度作らないといけません。攻撃の方法論を提示してあげたいですね。ただ、全国で通用する技術を身に付けるまでに時間はかかりますし、全国大会までに間に合うのか。攻撃にフォーカスした弊害は出てくるかもしれませんが、今年の選手にあった攻め方をイメージしながら、いろんな練習を参考にして攻撃の形を作っています。

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