東海大高輪台・川島純一監督

 激戦区・東京において屈指の強豪校へと進化を遂げている東海大高輪台サッカー部。2020年にはFW横山歩夢選手が松本山雅FCへ入団内定、2021年には同校卒業生の武井成豪がFC今治へ入団するなど、Jリーガーも輩出するようになり、大きな注目を集めている。そんなサッカー部を指導する川島純一監督に、選手の指導方法やスカウティングの際に重視していることなどについて話をうかがった。

ーー川島監督が実際に選手のスカウティングをしたりすることなどはあるのでしょうか?

 ありますね。東海大高輪台の場合は、入部希望の子には練習参加をしてもらって、自分の目で練習環境や先輩がどんな人たちなのか、練習中の声だったりスタッフだったりを見てもらって、感じてもらいたいなというのがあるので。最近では「東海大高輪台でサッカーがしたい」という生徒が来てくれているので、それは本当にありがたいことだと思っています。

ーースカウティングの際に重視していることなどはあるのでしょうか?

 やはり「何でもできるサッカー」をやりたいので、基本的な技術はそこそこを持っていないと難しいかな、とは感じています。あとは「プレーの意思が強い子」ですね。ちょっと抽象的かもしれないのですが、プレーに意思が宿っている子っているんですよ。そういう意志の強い子を見ると「おっ!」って思いますね。

 それともちろん、スピードがある、高さがある、体が大きい、キックがすごい、テクニックがすごいなど特徴のある選手は重視していますね。

東海大高輪台サッカー部の練習風景

ーー昨年などは、割と攻撃が好きな選手が多かったというイメージだったのですが、今年のチームはどんなチームでしょうか? 

 例年フォワードとか中盤の選手に個性があるプレイヤーが多かったんですけれども、今年はDF陣に特徴的な選手が多いです。重心がちょっと後ろになるのかなとは感じているんですけれども、それが強みではあるので。攻撃的な守備は好きな選手が多いですね。それとヘディングが強かったり、スピードがあったり、キックがすごい選手だったり、本当に特徴のある選手たちがそろっている世代だと思います。

 それと、今年のチームは素直で真面目な子が多いので、手堅く勝負強いチームを目指したいと思っています。本当に苦しい時でも最後まで一生懸命にやれる選手たちです。

 選手層も厚いですし、誰が出ても形を変えられるし、いい状態でプレーできるので、それも強みかなと思っています。

ーーFW横山(歩夢)選手が松本山雅FCに入って活躍していたり、加藤(佑太郎)選手、谷地田(拓未)選手、梅沢(颯)選手、佐藤(大地)選手など将来楽しみな選手が続々と出てきていますが、何か指導法など変わったことはあるのでしょうか?

 2009年に監督になって、その後に新潟工の宮崎先生と出会って東海大高輪台のベースを作り始めたのが2010年なんですけれども、やってきたことがだんだんとベースアップしてきて、ありがたいことに「東海大高輪台のサッカーがしたい」という選手たちが集まるようになってきました。武井成豪(東海大卒業後今シーズンFC今治に入団)が3年の時にインターハイにも出場したり、それを見て入学してくれた子たちが、2019年の選手権東京予選の決勝まで行った時の世代だったんです。

 今のチームの選手が、2019年の決勝を見ている子たち。東海大高輪台らしいサッカーを見た子たちが集まってきてくれているんですよね。とくに2016年のインターハイに出場した時の選手たちが素晴らしい選手で、素晴らしいサッカーをしてくれて、「これが東海大高輪台のサッカーだ」というのが表現できた代だったんですよね。そこから特徴のある選手たちが増えてきているという印象ですね。ですので、特に何かを変えたというよりは、「東海大高輪台のサッカー」というものが確立していって大きくなってきたからなのかなと思っています。