日大藤沢 佐藤輝勝監督(写真=松尾祐希)

  2月27日に新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、政府から発令された休校処置。スポーツ界にも大きな影響を与え、高校サッカーではインターハイやU-18高円宮杯プレミアリーグなどが中止となり、各地域のリーグ戦も開幕が8月下旬以降に延期された。

 徐々に学校が再開された中で、予断を許さない状況が続く。しかし、いつまでも下は向いていられない。各チームは冬の高校サッカー選手権に向けて動き出している。

 3月から5月まで活動ができなかった神奈川県の日大藤沢高も6月に入り、人数を制限した分散トレーニングを経て部全体での活動を再開させた。ここまでの道のりはどうだったのか。佐藤輝勝監督に話を聞いた。

ーー3月から活動ができませんでした。日大藤沢高はどのような状況だったのでしょうか。

 正直に言えば、活動自粛がここまで長くなるとは思っていませんでした。幸い毎年2月末に実施している日大高、日大鶴ヶ丘高との合同引退試合は行なうことができ、昨年度の3年生を送り出せました。ただ、恒例となっていた卒業式後に私の自宅で開催する謝恩会はできなかったんです。食材等も準備していたのですごく残念でした。

 3月以降は活動がストップしたので、選手達には「こういう時だからこそ24時間を自分でプロデュースしなさい。自分と向き合おう!」と声を掛けました。私自身も今まで自分と向き合う時間が思い通りに取れず、家庭を顧みずに生徒たちと過ごしてきました。それも含め、活動自粛の期間に家の作業に励みながら、トレーニングを新しく勉強する機会にして、最高の練習を用意するために準備をしてきました。

 やはり、体が動かせないのであれば、自分と向き合う時間にしないと勿体無い。実際にオンライントレーニングはかなり充実していました。日大藤沢高では練習後に選手達だけでミーティングを行ない、内容について”GOOD”、“BAD”、“NEXT”で評価する形で話をしていたのですが、この期間はプラスアルファでオンライントレーニングの最後に、選手からの提案で部員のメッセージを入れるようになったんです。最初はキャプテンの宮川歩己が発信をしてくれて、「自分としっかり向き合いましょう」と部員に伝えてくれました。そこから副キャプテンの斉藤夏、GKの浜中英太郎など、順番に繋いでいったんです。体幹メニューや、できるトレーニングに取り組みながら、第7弾ぐらいまで動画を配信しました。そして、インターハイが中止になったタイミングで私からまた話をしました。Aチーム以外の選手たちも夏の大舞台に賭けていたので、言葉を掛けたかったんです。「全国に出られないのはすごく残念。ただ、そのためだけに部活動をやって来たのか。俺たちはそうじゃない」というのを問い正しました。

【次のページ】 この時期にどう取り組むかは重要