昨年度全国選手権4強時の矢板中央(写真=堀井優真)

ーー子供たちは普段の目標を見失った影響はありますか?

子供たちは初めての経験で分からないだろうし、僕たちも手探りです。本来であれば、全国大会に向かっていろんな取り組みをしていた時期でした。全国大会出場、リーグ戦の勝利。今までは目先の目標を設定して子供たちに伝えていましたが、今は定められません。なので、目の前の勝利よりも卒業後など、未来を見据えた目標設定に切り替えないといけないんです。

ーー今まで以上に将来を見据えて目標設定をしないといけないですよね。

そうです。リーグ戦とか目先の大会に集中して勝つためにやってきましたが、大会がなくなってしまって目的がなくなったときに未来に向かって今何をすべきか。そこを考えながら、感染防止をしつつ、勉強にも取り組む。あと、私が子供たちに言っているのはネットを利用しながら、今だからこそ将来のために勉強を進めていくことです。今までは部活ばかりでできなかった取り組みがあったはずで、子供たちは休まずに部活と学校で自分と向き合ってきました。今の時間をどう有効に活用するかで、未来が変わります。進路のための情報収集や読書。感染を防止した上で、日頃できないチャレンジに取り組んでほしいですね。

ーー大学を決める際に非常に推薦を獲得する作業が難しくなりそうです。となると、早めに引退して受験に切り替える生徒も増えそうですよね。

インターハイが中止になり、実績作りの場が1つ減りました。我々、指導者は学校の教員だから当然ですが、子供たちに進路指導も行います。今は緊急事態宣言中で動けませんが、状況が落ち着いた上で夏頃からは大学と連携を取って、推薦の基準などを確認していくつもりです。我々が聞いて、選手たちに情報を伝えてあげる作業が何より重要。それは選手だけではなく、親御さんにもきちんと情報を渡さなければいけません。去年の基準で推薦入学できた子供がそうじゃなくなる可能性があります。なので、大学や次のステージに進むために、何をすべきかを知らないといけません。指導者がきちんと対応する動きが子供たちの未来に繋がります。その上で今だけではなくて、「1年後、3年後、10年後に自分がどんな大人になっているのか」を伝えていきたいですね。「過去があったから今がある」と言った前向きな話をしていくつもりで、毎日のように「大会がなくなった。感染状況はどうなのか」など、最新の情報と知るべきで背けずに受け止めるべきですが、それだけではなくて自分の未来を考えた行動が一番大事なんです。

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