東海大相模の有馬信二監督

 神奈川県相模原市にある「東海大相模」こと、東海大学付属相模高等学校。日本オリンピック委員会会長・山下 泰裕氏(1984年ロサンゼルス五輪無差別級金メダル)や井上 康生・日本代表監督(2000年シドニー五輪100㎏級金メダル)らを輩出した柔道部や、原 辰徳・読売ジャイアンツ監督や菅野 智之投手(読売ジャイアンツ)などを生み出した野球部が全国的に有名である。

 そんな東海大相模で近年めきめきと実力を上げているのがサッカー部。2017年に初のインターハイ出場を果たし1勝をあげると、2019年にも2回目のインターハイ出場。2018年には左SB・山口 竜弥がJ1・ガンバ大阪に、翌年にはMF中山 陸がJ2・ヴァンフォーレ甲府に入団するなど選手育成でも大きな成果をあげている。

 では、東海大相模サッカー部は群雄割拠ひしめく神奈川県高校サッカー界で、なぜここまで躍進を遂げているのか?前後編の前編ではは2011年度からサッカー部を率いる有馬 信二監督に、成長の歴史やサッカーコンセプト、そして新チームの今とこれからを聴いた。前編はチームコンセプトと、トレーニング方法などが明かされる。

「ボールを大切にするサッカー」を貫いて

  僕は1966年9月10日に福岡県で生まれました。同年代は浦和レッズでプレーした福田 正博さん。自分は現役時代はMFとして東海大五(現:東海大福岡)、日本体育大でプレーした後、高校時代の恩師である平 清隆監督(現:サッカー部総監督・校長代理)や大丸 忠監督と共に体育教員としてサッカー部のコーチを20年ほど務めた後、2011年度から東海大相模の監督をしています。

 現役当時の東海大五は先輩たちのころから「つなぐサッカー」を志向していたし、自分自身もつなぐサッカーが好きだった。ですから東海大相模サッカー部の基本コンセプトは「ボールを大事にするサッカー」。足下でつなぎ倒してゴールを奪うことをやっています。フィジカルで負けないようにして、相手の逆を突いて、つないでいく。そういうイメージでトレーニングをしています。

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