見どころが多いファイナルにおいて、勝負のポイントを上げるのであれば、立ち上がりの試合運びだろう。「3バックですごく攻撃的にくる。いろんな形で戦ってくる相手なので、変に意識をし過ぎずにいつも通りのプレーをしたい」と青森山田の主将・山本虎(3年)が明かした通り、攻撃の振る舞い方は今までにない形だ。次々にボールを運んでくるだけに、スペースを与えると押し込まれる可能性はある。そこで青森山田は全体の距離感をいかにコンパクトにできるか。そして、高い位置からプレッシャーをかけられるか。特に開始15分あたりで積極的にプレッシャーをかけ、出鼻を挫ければ相手の士気は下がるはず。圧に屈した状況からセットプレーで得点を重ねられれば、間違いなく試合は優位に運べる。逆に近江は自分たちの間合いに持っていきたいところ。中盤の攻防で先手を取り、早い段階でゴールを決められれば、相手にダメージを与えられる。そうすれば、青森山田は前のめりになるはずで、逆に背後のスペースを使って2点目を取りやすくなるはずだ。

 試合前日の7日、青森山田は報道陣に練習を公開し、リラックスした表情を見せていた。1時間ほどのトレーニングも良い雰囲気でメニューを消化。一方の近江は取材対応をした一方でトレーニングは完全非公開となったが、チャレンジャーとして失うものはない。泣いても笑ってもあと1試合。運命のキックオフは8日の14時5分だ。           

(文・写真=松尾祐希)

▽第102回全国高校サッカー選手権
第102回全国高校サッカー選手権