大津イレブン(写真=矢島公彦)

 前評判通り勝ち上がってきた大津と、強豪校を立て続けに撃破してきた関東一。互いに初の準決勝進出だが、両者が歩んできた道のりはまるで異なる。

 今大会の優勝候補に挙げられていた大津は春先から期待値が高かったチームだ。高円宮杯U-18プレミアリーグWESTでは優勝争いを演じ、夏のインターハイでもベスト8に進出。選手権予選も全4試合で7ゴール以上を挙げるなど、32得点・0失点の圧倒的な強さで3年ぶりの選手権出場を手にした。

 特に今年の大津は得点力が凄まじい。191cmの大型FW小林俊瑛(2年)、機動力に長けるFW川口敦史(3年)の2トップはコンビネーション、個人技のどちらでもゴールを奪うが可能で、サイドに入る田原瑠衣、一村聖連も打開力が高いアタッカー。彼らを生かすキャプテンの森田大智(3年)、薬師田澪(3年)のダブルボランチもハイレベルで、正確なキックで攻撃を組み立てていく。前橋育英との準々決勝で森田が負傷交代した点は不安材料。だが、万が一間に合わなかったとしても、今大会2得点を挙げている碇明日麻(1年)などが控えているのは心強い。また、今年はセットプレーも強みにしており、CKやFKから相手ゴールをこじ開ける場面も少なくない。左SB岩本昌大郎(3年)がロングスローを投げられるのも武器で、様々なパターンから得点を奪えるのはチームの強みだ。

 一方の守備陣も寺岡潤一郎(3年)、川副泰樹(3年)のCBコンビとGK佐藤瑠星(3年)を軸に今大会は僅か1失点に抑えている。特に押し込まれる展開が続いた前橋育英との準々決勝では押し込まれながらも無失点。好セーブを連発した佐藤はもちろん、後半途中からは5バックに切り替えて最後まで得点を許さなかった。攻守で隙がなく、大津史上最強と言っても過言ではないだろう。

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