チームワークが武器の星稜

 2007年以来の決勝進出を目指す星稜と、同じく2009年度以来のファイナル進出を目指す米子北がベスト4の舞台で対戦する。

 一体感のある戦いで勝ち上がってきた星稜の武器はチームワーク。ともに鳥栖U-15出身であるキャプテン・中村実月(3年)、井上陽向大(3年)のCBコンビを軸に身体を張った守備を見せ、相手に押し込まれても我慢できる強さを持つ。GK山内友登(3年)も安定した守りを見せ、ハイボールなどに対しても思い切って飛び出せるのも心強い。また、控えGKの加藤夕暉(2年)もPKストッパーとして活躍。2回戦の札幌大谷戦では2つのシュートを止め、チームの勝利に貢献した。

 一方、攻撃の核はFW山崎陸成(3年)。ツエーゲン金沢U-15に所属していた3年前にU-15高円宮杯で準優勝を経験しているストライカーはフィジカルの強さを生かしたポストワークで攻撃の起点となるだけではなく、貪欲にゴールを狙う姿勢が光る。サイドハーフにも献身性を持つ選手が揃い、戸川期雄(3年)、前田一勇(3年)は何度もタッチライン側を上下動できる運動量を持つ。決して下馬評が高かったわけではなく、8月上旬から活動を再開した影響で今大会はぶっつけ本番の状態。しかし、一戦ごとに逞しさを増し、準決勝に勝ち上がってきた。「ボールを蹴りたいという欲を強く持っている」(河合伸幸)というチームが一気にファイナル行きのチケットを掴む可能性は十分にある。

米子北MF佐野航大

 米子北は攻撃陣が好調だ。日章学園との3回戦はスコアレスでPK勝利となったが、それ以外の3試合はいずれも複数得点を奪っている。元々守備に定評があるチームだった一方で得点力に課題を抱えていた。そこで昨季から攻撃的なトレーニングを増やし、新たなスタイルの構築に着手。今季は中盤の底でゲームを作るMF佐野航大(3年)を軸に多彩な攻めを見せ、どこからでもゴールが奪えるチームに仕上がった。2トップの小橋川海斗(2年)、片山颯人(2年)だけではなく、神村学園との準々決勝で先発起用されたFW福田秀人(2年)もネットを揺らして存在感を発揮。左SBの海老沼慶士(3年)も左足から質の高いクロスを入れ、右SBの渡部颯斗も推進力に定評がある。一方の守備陣も安定感があり、キャプテンのCB鈴木慎之介(3年)、GK山田陽介(3年)を軸に身体を張り、最後のところで簡単にはシュートを打たせない。攻守で状態を上げてきている米子北が初の日本一を目指し、準決勝の舞台に立つ。

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)