青森山田DF藤原優大(写真=矢島公彦)

 選手権のファイナルに勝ち上がったのは、優勝候補の大本命といわれる青森山田(青森)と、11年ぶりの優勝をねらう山梨学院(山梨)だ。全国3962校の頂点に立つのは、果たしてどちらになるのだろうか。

 この決勝カードは、くしくも11年前に山梨学院が初出場初優勝を飾ったときの第88回大会と同じだ。青森山田としては当時の借りを返す絶好の機会であり、かたや山梨学院は歓喜の再現を目論む。それぞれのキーマンがそれぞれの思いを抱きながら晴れの舞台に立つ。

 2016年、18年度に続き、3回目の選手権制覇を誓う青森山田のキャプテン、藤原優大(3年)は大会屈指のセンターバックと称賛され、空中戦の強さはピカイチだ。

 その長所は守備時だけではなく、攻撃時にもいかんなく発揮される。青森山田の得点パターンとしてクローズアップされている“ロングスロー”が成立するのは投げる側の右SBの内田陽介(3年)の力量はもちろん、ファーストターゲットとなる藤原の存在があるからといっても差し支えないだろう。

 相手に警戒されていてもそれを上回る高い打点からゴールを決めてみせる。「自分が直接ねらうというイメージよりボールを後ろにそらすことでは走り込んだ味方が詰めてくれれば」と、必ずといっていいほどきわどいシーンにまで発展させていく。その破壊力に目を見張るばかりだ。

 3回戦の帝京大可児(岐阜)戦の試合後、4対2で勝利しながらも「守備の強度が足りない」と厳しい口調で憤っていたが、続く準々決勝の堀越(東京)戦、準決勝の矢板中央(栃木)戦ではともにクリーンシートを成し遂げた。とはいえ、「もっと自分たちならできる」と、その探求心は無限だ。

「決勝では集大成といえるようなゲームをしたい」(藤原)

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▽第99回全国高校サッカー選手権
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