MF藤田仁朗（滝川第二／2年）写真＝森田将義

MF藤田仁朗（滝川第二／2年）
　名門校で1年目から10番を背負う実力は伊達でない。一番の特徴は攻撃での閃きで、本人は「ゴール前でボールを受けて前を向いた時のアイデアはたくさんある」と胸を張る。トップ下からドリブルで警戒網を潜り抜け、見る人が予想できない位置へとスルーパスを送り込む。PA内では相手DFを手玉にとり、フィニッシュまで持ち込む場面も少なくない。見る人を楽しませるファンタジスタタイプのアタッカーだ。

　昨年は、入学してすぐAチームでの出場機会を得たが、チームは夏冬共に全国大会への出場を果たせなかった。特に生まれ育った兵庫県のチームで選手権に出場するのを目標にしてきたため、選手権予選での敗退は誰よりも悔しい気持ちを抱えている。選手権では、トレセン活動で一緒だった神戸弘陵のMF田中祉同が活躍したのも刺激になっており、「昨年は自分が目立てばそれで良いと思っていたけど、今年はもう2年生。全国で同い年がたくさん活躍しているので、責任感を強く感じるようになった。チームを引っ張っていくつもりでプレーしている」と意気込む。

　気持ちの変化によって、課題だった守備にも成長の跡が見える。「守備の意識が凄く上がってきた。攻撃の才能を持った選手なので、これまで守備は見てしまうことが多かった。ただ、パスラインを消したり、守備のセンスはある。フィジカルで奪えなくても読みで奪える」と評するのは、亀谷誠監督だ。フィジカルの強さが増せばよりプレーの怖さは増すだろう。彼が持つサッカーセンスの高さをより多くの人が知る日は、そう遠くはずだ。