(写真=田畑雅宏)

愛の反対は憎しみではなく無関心。
今から10年ほど前に友人から聞いた言葉だ。
愛情が深ければ深いほど、
期待が大きければ大きいほど、
落胆も大きい。
愛と憎しみは背中合わせだ。
関心がなければ憎しみすら沸かない。
親として子どもに無関心な方はいないであろう。
問題は親の関心の持ち方だ。
我が子が試合に出場しても出場していなくとも応援席で応援を3年間やり続ける親。
我が子が卒業しても我が子の母校を応援し続ける親。
我が子が試合に出場したときだけ応援席にいる親。
我が子の母校すら否定してしまう親。
監督さんの采配批判・根拠のない噂話を流す親。
「チームはガタガタになっている」「監督は今年で代わるらしい」。
大抵は試合に出場していない親が関わっている。
卒業しても「○○監督」「○○さん」と呼び合う親子。
現役時代から監督やコーチを呼び捨てにしている親子。
我が子が真剣に取り組んでいる高校サッカーに関心を持つ。
我が子が所属するサッカー部に関心を持つ。
いつのまにか親自身、サッカーが大好きになっている。
サッカーを、チームを、好きになった親。
親も我が子も幸せだ。
我が子が活躍することだけに関心をもってしまった親。
我が子のチームを好きになれなかった親。
我が子のチームに関心がもてなかった親。
サッカーを、チームを、好きになれなかった親。
親も我が子も不幸せだ。
そんな親に限って我が子が周りから相手にされていないと思ってしまう。
自身が周りに関心が持てないのに周りから関心を持たれたいなんて。
なんとも都合がよすぎる事に気づけない親。
よく考えて欲しい。
お子さんはあなたのDNAが流れているのです。
あなたの子ども時代を思い出してください。
そのことを考えればお子さんは本当に良く頑張っているのではないでしょうか。
お子さんは自分の好きな事に親が関心をもってくれたことが嬉しいのです。
そんな我が子が真剣に取り組んでいるサッカー。
監督さん、コーチの皆さん、サッカー部の仲間達。
親のあなたがリスペクトできたなら。
お子さんはサッカーを楽しみながら、人間として成長していくことでしょう。
プロになりたい。全国大会に出場したい。レギュラーになりたい。
なりたいのはお子さんです。
親のあなたではありません。
親がすべきこと。
それは、お子さんが一生懸命挑戦しているサッカーをただひたすら見守り続けることだけです。
親が選手達の汗と涙の染みこんだグランドに踏み込んだとき。
それは愛が憎しみへ化していく前触れかもしれません。
応援席から応援し続ける距離感を親が保ち続ける。
それこそが親の一番の役目であり本当の愛情です。
ここの一線を引くことが分かれ道です。
「親」とは、木から立って見ると書く。
遠くから見守り続けなさいと言うことです。
親のみなさん。
大切な我が子をしっかり見続けるには一定の距離感が必要です。
太陽のように温かい眼差しでお子さんに関心を持ち続けていきましょう。

(文・写真=田畑雅宏)

▽第98回全国高校サッカー選手権
第98回全国高校サッカー選手権