矢板中央イレブン

 今年の矢板中央はとにかく走る。チーム全体の守備意識が高く、ピッチに立つ選手たちは最後の1分までハードワークを厭わない。2年ぶりに4強入りを果たした高校サッカー選手権では、初戦からそのスタイルで勝利を積み重ねてきた。

 元々、矢板中央はフィジカルの強さを生かした空中戦の強さや球際の強さが伝統にある。ただ、今年は特筆したタレントがいない。「去年と一昨年は個性の強い選手たちが揃っていた。誰に聞いても今年の矢板中央は谷間の世代だと言われていた」と高橋健二監督が認めるように、厳しい戦いを強いられてきた。実際にプリンスリーグ関東は最下位。守備の強度も物足りず、大会前は大きな不安を抱えていた。だが、その不安材料がプラスに働き、献身的に戦う意識が向上。中盤の底で靏見拳士朗(3年)、在間太一(3年)がボールを回収し、相手に攻め込まれた時は長江皓亮(3年)、矢野息吹(3年)のCBコンビが攻撃を跳ね返す。最後尾には期待の1年生GK藤井陽登が構えており、試合を重ねるごとに安定感を増してきた。

【次のページ】 鋭いカウンターを仕掛けられる人材が揃っている

▽第98回全国高校サッカー選手権
第98回全国高校サッカー選手権