写真:10年ぶり優勝を目指す成立学園

 第94回全国高校サッカー選手権東京都2次予選はA・B両ブロック共に準々決勝の戦いへ。憧れの西が丘進出を懸けた大一番を展望する。

■都立松が谷vs帝京
 一足先に4強入りを決めた東京朝鮮中高級学校との対戦を懸けた両校の激突。前評判は6年ぶりの王座奪還を目論む帝京優位が大方の予想。通算35度目の全国へ歩みを進める名門は2年ぶりの西が丘進出を勝ち取ることはできるのか。今季開幕当初は勝ち負けを繰り返したリーグ戦では順位こそ6位ながらも、後半戦以降の戦績は4勝3分け1敗(10月1日現在)と調子は確実に上向き。成立学園実践学園らに快勝を収めれば、関東一らには収穫多きドローを演じるなど総体予選時よりも一回りチーム力の向上が覗えるだけに期待は膨らむ。守備に重きを置いた戦術が予想される相手に、スタメン出場が予想されるMF長倉昂哉、MF鈴木啓太郎といったアタッカー陣のスピード、突破力を活かす効果的なサイド攻撃から攻略の糸口を掴んでいきたいところだ。

 対して“チャレンジャー”である都立松が谷は番狂わせを演じたい。今大会は都立葛飾総合らと対戦した1次予選3試合を12得点1失点の成績で勝ち上がると、2次予選では大東大一都立国分寺といったTリーグに参戦する格上校と対戦し、共に1対0のスコアで引導を渡した。今試合でも堅実な守備からリズムを生み出す本来の形に持ち込むことが勝利への条件となるだろう。

■成立学園vs東海大高輪台
 MF河口海斗の決勝点で修徳との注目対決を制し、続く2回戦ではFW吉村伸、FW長島滉大のゴールで早稲田実業を撃破。ここまで強敵連破の成立学園は、来たるラウンド16でもまたもや難敵との対戦に臨むこととなった。迎える一戦、キャプテンマークを巻くFW吉村伸やU-18オーストラリア代表DFオトゥール・コナーら多数の注目選手が並ぶチームの中で、鍵を握るのはパスサッカーの中軸を担うMF河口海斗、MF大野泰成のダブルボランチ。豊富な運動量を武器に攻守に献身的なプレーが光る両選手を中心に、中盤の主導権争いでリードすることができれば自ずと勝機は見えてくるだろう。前回大会を振り返れば、上田悠起(現横浜FC)らを擁し、総体準優勝の実績を引っ提げながらも西が丘行きを逃した。第84回大会以来10年ぶりの全国出場へ、ここで立ち止まるわけにはいかない。

 一方、昨季準優勝校である実践学園との死闘を経て、この準々決勝へと駒を進めた東海大高輪台。ショートパスを巧みに繋ぐ自らのスタイルで成立学園に真っ向勝負を挑む。初戦の青稜戦で決勝点を奪ったFW本藤悟を1トップに据え、2回戦実践学園でゴールを挙げた攻撃の要、MF野村浩輔らが形成する攻撃は流動性に富み、次戦でも多くのチャンスメークに期待が懸かる。さらには実践学園戦で7月以来となる復帰を飾った主将・MF武市健太の出場も楽しみにしたいところだ。

【次のページ】 国士舘vs國學院久我山