ほんの1カ月半前まで、紛れもなく高校生だった。

ポジション争いの熾烈な鹿島にあっても「早々にスタメンを奪うのではないか」と評価はうなぎのぼりだ。昇竜の勢いとは、まさにこういう状態をさすのだろう。

 とはいえ、サッカー人生すべてが順風満帆だったわけではない。負ける悔しさを、いく度となく味わっている。

 高校生活ラストを飾る、先の第98回全国高校サッカー選手権大会には出場できなかった。2019年12月4日、県の代表権をかけた筑陽学園との決勝で惜敗したからだ。スコアは0-1。わずか1点が勝負を分けた。

 エースナンバーの背番号10を身にまとうキャプテンの荒木は後半途中からの出場だった。ケガを抱えていたために無理ができなかったのだ。チームを何とか勝利に導こうと力を振り絞ったが、望む結果は得られなかった。

 18歳の荒木は今、新たなステージに立っている。これからどんな成長曲線を描いていくのか。天井知らずの才能に期待は高まる一方だ。

(文=小室功)