しかし、昨年は四国総体・四国プリンスの2冠に輝き、総体でも1勝をマークも、最も大事な選手権出場を阻まれた雪辱に燃える徳島市立は、我慢の35分を超えた後半開始からとっておきのジョーカーMF郡絋平(3年)を投入する。1年生で全国高校サッカー選手権・先発出場。今年の四国プリンスでも5試合9得点と得点王争いを独走する絶対エースは、四国プリンス5試合5アシストのFW山本史弥(3年)が出したキラーパスにPA中央から右に入る動きで素早く反応。

 「相手がスペースを空けてくれていたところにファーストタッチで入れて、GKもニアサイドに寄っていた」冷静な思考から右足シュートを決めた郡の先制ゴールは、後半開始1分も経過しない早業だった。

 これで試合の形成は一気に徳島市立へ。「前で攻め切ってカウンターをさせない」MF山田晟司(3年)がボランチの位置からゲームをコントロールすると、鳴門は攻め手を封じられることに。そして後半28分に、徳島市立はFW小延将太(2年)のスルーパスを受けた山田が試合を決める2点目。「クロスのコースを防ぎにいった」(GK佐野)守備も相手を無失点に封じ、徳島市立は3年連続15回目のインターハイ出場を宿敵撃破で飾った。

 試合後には「相手がシュートを外してくれた」前半の不出来に苦笑いを浮かべながら「このシステムでやろうとは思っていない。1年生も使いながら思い切っていけるように、新たなシステムを考えていきたい」と語った徳島市立・河野博幸監督。例年よりタレントがやや欠ける中、選手の力を最大限発揮する術を模索する彼らは2年連続プレミアへの道を阻まれている広島県で「まずは1勝」(主将・佐野)の先にある新境地を開きにいく。

(文・写真 寺下友徳)