FW13馬目隼乃介(写真=松尾祐希)

 後半に入ると、仙台がMF各務剛良(3年)を中心に巻き返しを図ってきたが、鹿島は慌てずに対応して主導権を渡さない。サイドの攻防で優位に立ち、最終ラインからボールを繋ぎつつ、状況を見てロングボールを相手の背後に蹴り込んで好機を生み出していく。62分には大山が加点すると、89分にと90+4分には途中出場のFW徳田誉(2年)が試合を締め括るゴールを決めて勝負に蹴りをつけた。

 「非常に気持ちが伝わってくるゲームだった。最後の最後で最高のゲームをしてくれたと思います」

 普段は手放しで選手を褒めない柳澤敦監督も、この日ばかりは選手たちのプレーに賛辞を惜しまなかった。今年のチームは春先から“最弱の世代”と言われ、特にフィジカル能力が例年と比べると物足りなかったという。そのため、筋力強化のメニューを増やし、選手たちからは「めちゃくちゃきつい」という声が度々聞かれた。しかし、誰一人として諦めることなくトライ。夏以降は安定した力を発揮し、このプレーオフに乗り込んできた。8日の初戦でMF平山京吾(3年)、U-17日本代表の右SB松本遥翔(2年)が負傷交代し、この仙台戦は欠場を余儀なくされても動じず、一体感のある戦いで歓喜の瞬間を迎えた。

 「選手たちが頑張った。来年に向けて準備をしっかりしていきたい」(柳澤監督)

 喜びを噛み締めた鹿島ユースにとって、プレミアリーグ参入は19年度以来。次のステージで戦うべく、来季は新たなスタートを切る。

(文・写真=松尾祐希)

▽高円宮杯U-18サッカーリーグ2023プレミアリーグプレーオフ(参入戦)
高円宮杯U-18サッカーリーグ2023プレミアリーグプレーオフ(参入戦)