埼玉栄 vs 朝霞西(写真=河野正)

 逆転された埼玉栄はいくらか焦りもあったのか、なかなか質の高いアタックに持ち込めず、相手の守備を崩せないでいた。後半23分から出場した長身FW佐野竣(3年)が39分、決定的なシュートを放ったもののGKの正面を突き、2分のアディショナルタイムに突入。その2分が経過した時だ。佐野がCB片波見大輝(3年)のロビングのボールをヘディングで決めて土壇場で同点とした。

 計20分の延長は両チームとも決定機はなく、PK戦決着となった。

 先蹴りの朝霞西は5人全員が確実に決めたのに対し、埼玉栄は4人目のキッカーが枠を外してしまい、5-4で勝負がついた。

 昨年は支部予選で負けて出場できなかった朝霞西だが、今年のチームは球際の攻防で引けを取らず、ボールへの寄せ、出足の速さでも埼玉栄をしのぐ局面が多かった。

 佐野コーチは「うちはガツガツいかない弱さがありましたが、今年のチームは精神的にもタフで延長やPK戦になっても、『やってやろう』という気概がありました」とイレブンを褒めた。

 ただ同点ヘッドを決めた埼玉栄の佐野は、佐野コーチの息子。「ちょっと複雑な心境でした」と苦笑した。

 プレーと声でチームを引っ張る檜山は「4日前に西武台との練習試合でも点を取っていたので、今日も自信がありました」と胸を張り、「明日の2回戦も勝てばチーム最高成績のベスト16なんです。何としても部の歴史を塗り替えたい」と三郷北との県立高対決に闘志をたぎらせた。

(文・写真=河野正)

▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
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