昌平のMF荒井悠汰(写真=河野正)

 昌平は後半に入ってもそう多くの先制機はなく、7分から途中出場したMF伊藤風河(3年)が、30分に決定打を打ったものの、勢いのないシュートはGKの正面を突いた。

 後半のアディショナルタイムは3分だ。タイムアップの時間が迫っていたその時、MF土谷飛雅(2年)が切れ味鋭いドリブルで揺さぶると、ゴールやや右21メートル付近でFKを獲得。壁の間を通す強烈な一撃がゴール左隅に突き刺さり、劇的な幕切れとなった。

 浦和東戦は4点のうちCKから2得点し、今回はFKで決勝点。藤島崇之監督は「相手の守りが良かったのでうまく崩せなかったが、FKから取れたのは良かった。セットプレーは今年のチームの持ち味でもある」と喜んだ。土谷は新チームからレギュラーとなったボランチで、同監督は「キックの精度が高く種類も多い。これからが楽しみ」と評した。

 そんな2年生ヒーローは、「あの位置からのFKは練習でも決めていたので自信がありました。構想としてはドリブルで突破してファウルをもらい、FKを蹴るほうが得点の可能性が高いと判断しました」とシナリオ通りに運んだ決勝ゴールを詳しく解説してみせた。

 JリーグFC東京への来季加入が内定している荒井もFKを直接狙うのは得意だが、「土谷は練習でもよく決めているので入ると思った。こういう難しい試合はセットプレーが大きな武器になりますね」と後輩に感謝した。

(文・写真=河野正)

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