【フォトギャラリー】 九州文化学園 vs 創成館

九州文化学園 vs 創成館(写真=藤原裕久)

 「ここからボールを持ち直すのは難しい。耐えて一発を狙った(有光監督)」という九州文化だったが、延長戦に入っても攻め手を緩めない創成館は、延長前半終了間際に田川のクロスを波多野太一が決めて逆転に成功。その後も攻め続けることで九州文化の反撃を押さえ込み、2対1で準々決勝への進出権をもぎ取った。

 優勝候補を新鋭校があと一歩まで追い詰めたという意味で、九州文化の戦いぶりは称えられるものだろう。両校のこれまでの実績をみれば九州文化の大健闘と言っていい。だが、試合後の有光監督は「悔しいけれど・・」と言いかけて少し考えて、こう言い切った「悔しいです」。そこには本気でチーム力では負けていないという気持ちが感じられた。

 「ウチは今大会、良い立場だと思っていました。他チームは選手権後から新チームを立ち上げたんだろうけど、ウチは2年やってきた積み重ねがある。自分の中では勝てると思っていた。でも、前半終わって勝ちが見えたような感じがあった中で、ハーフタイムに(気持ちを)締め直せなかった」九州文化にとっては大健闘の充実感より、勝てなかった悔しさが大きかったということだろう。

 一方、創成館の久留監督は「新チームでは、よくある展開になってしまいました」と、苦笑交じりに前半の苦戦を振り返った。その笑みの向こうにはハーフタイムにうまく修正できたことの手応えと、そう簡単にやられはしないという自負が感じられた。そういったタフさの部分で、まだ創成館が上ということなのだろう。

 サッカー部を立ち上げるとき、有光監督は当時1年生だった部員たちに「長崎を驚かそう」と言ったという。それから2年が過ぎ、九州文化は県北の強豪高に成長し、今大会では優勝候補に肉薄し、脅威と呼べるまでのチームとなった。今後の成長が実に楽しなチームである。そして、そんなチャレンジャーを退けた創成館の戦いぶりも見事だった。したたかに、手堅く、そして粘り強く。戦うたびに地力を増していることを感じさせた。そういう意味では、両チームにとって、自分たちの力を知る格好の試合となってのはないだろうか。

(文・写真=藤原裕久)

▽令和3年度長崎新人戦(新人選手権大会)
令和3年度長崎新人戦(新人選手権大会)