決勝のPKを決めた静岡学園MF16高橋隆大(写真=寺下友徳)

 ところが後半に入ると様相は一変。ハーフタイムに「立ち位置を修正した」北内耕成監督から「勝つぞ!」と檄をもらった愛媛FC U-18は、相手の立ち位置の間を取ってからギャップを突く狙いを体現。53分、自陣ゴール前からのロングカウンターから行友がドリブル。最後は左足で豪快に突き刺し1点を返すと、56分には梶原がPA左で勝負し自ら得たPKを決めて同点。個の能力、テクニック差を効率的に補ってみせる。

 その後も有効的なカウンターを繰り出し、バックスタンドに詰め掛けたサポーターを中心に逆転への雰囲気を作る愛媛FC U-18陣営。しかしながら61分に玄をボランチ、72分に切り札的存在のドリブラー・高橋隆大(2年)を右FWに入れ、さらにボール支配率を高めた静岡学園は10分ハーフの延長戦に入っても主義をぶらさずジャブを打ちまくった。

 その作業は延長後半103分に結実する。静岡学園は高橋がPA右から「1対1で抜けるのは解っていたので、早めにクロスを上げるパターンもしておこうと思った」プレーで相手のPA内ハンドを誘い、これを自ら決め勝ち越し。愛媛FC U-18もセットプレーでGK黒川を参加させるなど、最後までファイティングポーズを取り続けたがGK生嶋、DF伊東を軸にする静岡学園の守備を割るまでには至らず。試合は激闘を制した静岡学園が3対2で勝利。2013年以来、実に9年ぶりとなる来季プレミア復帰を決めた。

 川口修監督は試合後「選手たちに勝ちを意識させ過ぎた。監督がヘボです」と自省のコメントを発したが、逆に勝利を意識しながら伝統のテクニックを発揮できた彼らのパフォーマンスは、来る選手権を考えても見事の一語。J1川崎フロンターレの「ザ・ポリバレント」旗手怜央(2015年度卒)ら偉大な先輩たちが涙を呑んだ壁を超えた静岡学園は、この日味わった強度高き戦いを胸に刻み、2年ぶりの選手権制覇へ向け邁進を続ける。

(文・写真=寺下友徳)

▽高円宮杯U-18サッカーリーグ2021プレミアリーグプレーオフ(参入戦)
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