最後はやはり「10番」が勝負を決めた。

 なかなか得点が奪えなかった中で延長前半8分、MF高石真爽が左サイドから仕掛けるとこぼれ球がゴール前へ。「(高石が)ゴール前でキープしてくれたというのがやっぱり大きかった。(こぼれてくる予感は)多少ありました」。これにうまく抜け出した10番のFW細矢晃一郎が冷静に右足を振りぬいて決勝点。「最近、上高自体が県大会に行けていないというのもあって、今年の代で県大に行けたというのは良かった。(ゴールは)素直に嬉しかったです」と喜びを語った。

 チームでは最後の選手権を迎えるにあたり「誰が10番をつけるか」で議論があったという。キーパーが怪我した場合、PKキーパーを務める可能性もあり21番をつけていたこともあるなど、普段はあまり背番号には関心は示してこなかったという細矢だが、「最後なのでやっぱり(10番を)つけたい気持ちは多少ありました」と立候補。もともとその番号をつけていたCBでキャプテンの佐藤郁との決選投票を行った末にエースナンバーをつけることになった経緯がある。

 そういった中で今予選は10番をつけて2回戦・所沢北戦の2ゴールを含む3得点とチームの全得点を奪取。10番として、FWとして「やっぱり仕事は点を取ること」と大役に結果で応えた。

 この日は相手からの警戒も受ける中でなかなか調子が上がらなかったが、「あいつを変えるつもりはありませんでした」と塚田智宏監督。「淡々とやるんですけど、最後は絶対に仕留める。さぼっているように見えて、いざというときにズバッと、スピードとパワーとコントロールでやってくれる」と絶大な信頼を置かれる上尾のエースは「(2次予選)1回戦に向けて調整して、チームの士気を上げていきたい。(ゴールも)取れたら取りたいと思います」と意気込みを語った。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽第99回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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